火山岩を活用した網目模様のブドウ畑!黒い大地ピコ島を巡る

ポルトガルで一番高い、アソーレス諸島のピコ山。なだらかな裾野のシルエット、そして山頂付近に雪が積もった様子は、一瞬日本の富士山かと見間違えてしまいそうな姿です。このピコ山の麓には、島の自然環境を活用した一風変わった景観のブドウ畑が広がっています。知る人ぞ知る、ピコワインの生まれる島を一緒に巡っていきましょう!

歴史と概要

アソーレス諸島で2番目に大きく、種子島とほぼ同じ面積のピコ島には、標高2351mのポルトガルで最も高いピコ山があります。ピコ山の黒い山肌、そして真っ黒な火山岩に覆われた大地がピコ島を代表する景観のひとつです。

ピコ島の主な産業のひとつがワイン製造。この島でのワイン製造の歴史は、ポルトガル人による入植時にブドウの苗木が運びこまれたことに始まります。ピコ島の開拓を始めたポルトガル人は、ピコ山の火山活動によってできた溶岩の割れ目にブドウの苗木を植え、地面に這わせるようにしてブドウの栽培を行いました。さらに潮風からブドウを守るため、区分けされたブドウ畑の周りに網目状に岩石を積み上げて、石垣「クラウ」を作り上げました。その長さはなんと8000kmにもおよぶと言われています。

15世紀から受け継がれているこのブドウ畑の景観は、時代と共に畑の数が激減。伝統的な景観の保護を目的として、2004年に「ピコ島のブドウ畑文化の景観」として世界遺産に認定をされました。

ブドウの剪定や収穫はすべて手作業、足踏みによる圧搾など、製造工程も伝統的な方法で生み出されるピコワインは、日本でもまだ手に入れる手段が限られているレアワイン。生産されるワインのおよそ8割は白ワインで、シーフードにぴったりのミネラル分豊富な味わいが特徴です。ピコ島を訪れた折には、エネルギッシュな大地にたくましく育つブドウから作られるピコワインをぜひ味わってくださいね。ワインにさらにアルコールを添加した酒精強化ワイン「ラジド」も名物です。

基本情報・アクセス

ピコ島へのアクセス

リスボン空港からピコ島のピコ空港までは直行便で2時間半~3時間。テルセイラ島やサン・ミゲル島を経由して行くことも可能です。
また、アトランティコライン社が運航する結ぶフェリーを利用して、アゾーレス諸島の複数の島を巡るのもおすすめ。
参考:Atlânticolineホームページ

ピコ島での移動手段

ピコ島内を走る公共バスは島の北部・南部を走る2路線があります。便数は多くはないので、ピコ島内の移動はタクシーやレンタカーでの移動が効率的でしょう。
参考:Cristiano Limitada社(バス会社)ホームページ

現地ツアーへ参加するのもおすすめです。
一例:FONTE TRAVEL社のピコ島ツアー(Tour pela Ilha do Pico)
島のブドウ畑の景観を始め、島の豊かな自然や伝統を巡るツアー。昼食や試飲試食付きの1日ツアー、または要所のみ効率的に見て回れる半日ツアーから選べます。
参考:FONTE TRAVEL社ホームページ

ピコ島の見どころ

世界遺産に認定された「ピコ島のブドウ園文化の景観」は、主に島の西部で見られます。フェリーの停泊港がある島北部のサン・ロケ(São Roque)と西部のマダレーナ(Madalena)を拠点に、ブドウ畑とピコ山の景観巡りをするのがよいでしょう。

ピコ島のブドウ畑を見る

アクセスのしやすいブドウ畑は、マダレーナから南におよそ3km進んだ場所にあるクリアサォン・ベーリャ(Criação Velha)にある一帯です。海の近くから内陸まで、溶岩が積み重なった石垣が網目状にどこまでも続く景観は圧巻。石垣の間の散策もできますよ。

ピコワインを知る

ワイン博物館(Museu do Vinho do Pico)
マダレーナの町の中心部から少し離れた場所にある、修道院跡につくられた博物館です。ピコ島でのワイン造りの歴史やピコワインの展示、テイスティングコーナーなどがあります。ブドウの収穫期には隣接するブドウ畑で収穫体験ができるチャンスもあるようですよ。
参考:ワイン博物館

「ブドウ園文化の景観」インフォメーションセンター
(Centro de Interpretação da Paisagem da Cultura da Vinha)

マダレーナとサン・ロケの中間地点の海沿いにあるインフォメーションセンターです。世界遺産に認定をされているピコ島独特のブドウ栽培についての解説が充実しています。ワイン博物館と併せて訪れると、理解も深まるでしょう。
参考:「ブドウ園文化の景観」インフォメーションセンター

ピコ島を巡る

ピコ山に登る
ピコ山の登山は、往復で平均6時間ほどかかります。ごつごつとした岩場で足場も良くはないので、ちゃんとした登山用の服装・装備は必須です。山頂からは360度広がる大西洋やアソーレス島のほかの島々が眺められますよ。

海岸線を歩く
火山島独特の景観は海岸沿いまで続きます。ピコ島の海岸は白い砂浜ではなく、黒く荒々しい景観が特徴。ピコ山の火山活動が生み出した独特の海岸線の散策もおすすめです。犬の形をした岩場が名物スポットなので、ぜひ探してみてくださいね。

町並みを楽しむ
火山岩はブドウ畑だけではなく、ピコ島の家の壁面や家を囲む石垣にも広く活用されています。火山岩が生み出す黒と白のコントラストからなる町並みは、真っ青な海と空にくっきりと映えるピコ島ならではの景観。ポルトガル本土とは異なる独特の雰囲気を楽しんでくださいね。

アクセスマップ

まとめ

世界遺産でもある、一風変わったブドウ畑が見られるピコ島のご紹介でした。ポルトガルは地域ごとに特産ワインがある国。ポルトガルワイン好きの方は、本土から遠く離れた島で500年以上続く伝統的なピコワインも味わうべく、ぜひピコ島訪問も計画してみてくださいね。
※ポルトガルワインについてもっと詳しく!→「ワイン好きのあなたに!ポルトガルワインを味わうための基礎知識

※各施設・店舗の情報は2021年2月の情報です。今後変わる可能性がありますので、最新の情報は公式HPなどでご確認ください。

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