ポルトガルの街を美しく彩るタイル、アズレージョ。描かれた模様や色合いに温かみがあるので、見ているだけでワクワクしたり、なんだか気分をほっとさせてくれたりする、そんな不思議な魅力を持っています。
アズレージョの歴史はとても奥深く、知れば知るほど魅了されてしまうはず。このページではそんなアズレージョについてまとめてみました!
ポルトガルのアズレージョの特徴
ポルトガルで街歩きをしていると必ず目に入ってくるのが、建物の壁に飾られた様々な模様のタイルです。これはポルトガル語でアズレージョ(Azulejo)と呼ばれる装飾タイルで、実に様々な種類があります。
特に北部のポルトでよく目にするアズレージョは、青を基調にして人物などが描かれているものですが、アズレージョと聞いて思い描くまず最初の特徴だと思います。
またカーペットスタイルと呼ばれる同じ模様が描かれているアズレージョもよく見かけます。
アズレージョは、約10㎝前後の正方形をしたタイルに模様を描き、それを並べて張り付けることで全体的な装飾を成り立たせています。このように古くからの残るアズレージョは、全て1枚ずつ模様が描かれていました。
アズレージョの歴史
装飾タイルの歴史をさかのぼると、もともとはイスラム王朝からの影響を受けていることがわかります。14世紀ごろに当時イスラム王朝ナスル朝が建築を拡張させていたスペイン・グラナダのアルハンブラ宮殿では、目を見張るほどの美しい装飾タイルが飾られました。
15世紀後半にグラナダがキリスト教徒の手に渡ると、当時のスペイン国王カルロス5世によりさらに手を加えられることになります。この時にポルトガル国王のマヌエル1世がアルハンブラ宮殿を訪れ、その装飾タイルの美しさを大変気に入りポルトガルに持ち帰ったと言われています。きっと、あまりの緻密さと色鮮やかさに驚いたことでしょう。
スペインではタイルの模様の型をとり、その凹みに色を入れていく方法でしたが、ポルトガルではしばらくすると平らなタイルにそのまま絵を描く手法へと変わっていきます。
平なタイルに絵を描くことで、幾何学模様だけではない多くの表現ができるようになったのです。特に人物・動物などの細かな描写や柔らかい曲線が描かれることにより、ポルトガルのアズレージョらしい温かみが生まれたのだと思います。
17世紀ごろにはキリスト教の教えを聖書を読めない人たちにも伝えるため、宗教画が頻繁に描かれるようになりました。今でも多くの教会で、ブルーで描かれたアズレージョを見ることができます。
またこの頃、ブルーの他に黄色を取り入れたアズレージョも描かれるようになりますが、これらは特に玄関や応接間など客人を迎える場所に用いられることが多かったそうです。
もう少し時代が進むと、立体的な飾りが付けられたりするなど、アズレージョは進化していきます。
近年では公共の場所に飾られるモダンなアート作品や、ハンドペイントではなく同じ模様を機械で印刷しそれを並べて壁の装飾などにするなど、国民に愛され広く使われています。
ポルトガルで街歩きをしていると、きっとあなたのお気に入りのアズレージョに出会うことができるでしょう。
見逃せないアズレージョ
ここからは、ポルトガルで是非見ておきたいアズレージョをご紹介します。スケジュールに合わせて、訪れてみてはいかがでしょうか。
リスボンのサンタ・ルジア展望台
サンタ・ルジア展望台(Miradouro de Santa Luzia)にある、リスボン大震災(1755年)以前の街の様子が描かれているアズレージョです。サンタ・ルジア教会の展望台側の外壁に描かれています。サイズが少し小さ目なので見逃してしまう人が多いですが、リスボン好きにはおすすめのアズレージョ。
見事な装飾の元食器工房のアズレージョ
以前はリスボンの中でも危険なエリアとしてポルトガル人もあまり近寄らなかったインテンデンテ広場(Largo do Intendente)。数年前にリスボン市が綺麗に整備し、今では人気ショップやカフェが並ぶ居心地の良い場所となりました。
そこにリスボンで一番美しいとも言われているアズレージョが飾られている建物があります。細かい絵柄や色使いにうっとりしちゃいます。
ポルトのアルマス聖堂
ポルトのショッピングストリート・サンタカタリーナ通り(Rua de Santa Catarina)に堂々と佇むアルマス聖堂(Chapel of Souls)。
教会の外壁にびっちり引き詰められたアズレージョの数、実に1万5千枚以上!聖フランチェスコと聖カタリーナの一生涯が描かれているのですが、その美しさに圧倒されること間違いなし。ポルトを訪れる際は必ず見ておきたいアズレージョです。
ポルトのサンベント駅
こちらもポルトでは見逃せないアズレージョポイント。
街の中心地に位置するサンベント駅ですが、この駅に一歩踏み入れるとそこには全面に大きなアズレージョが広がっています。毎朝、こんな駅から通勤・通学できるポルトっ子が羨ましくなるのではないでしょうか。
ドウロ地方のピニャオン駅
ポルトから少し足を延ばして、世界遺産のブドウ畑が広がるドウロ地方へ行かれるあなたに、ぜひ見てもらいたいのがピニャオン駅(Pinhão)のアズレージョ。ブドウの収穫の様子やワインを樽に入れて運ぶ様子など、ワイン好きにはたまらないアズレージョです。
【リスボン】国立アズレージョ美術館
街歩きをするだけで多くのアズレージョを鑑賞できるポルトガル。そんな美しいアズレージョにすっかり魅了されてしまったあなたにおすすめしたいのが、リスボンにある国立アズレージョ美術館です。
16世紀に建設されたマドレ・デ・デウス修道院を改築し、美術館として一般公開されています。15世紀ごろから近代までのアズレージョを体系的に見ることができ、その奥深さにさらに魅せられること間違いなしの場所です。
国立アズレージョ美術館については、詳しく別の記事でご紹介する予定ですので、そちらをご覧ください。
まとめ
ポルトガルの街を彩る、ポルトガルらしくするアズレージョ。
美しい装飾から、ほっこり可愛らしい模様、思わず吹き出したくなるユニークな絵柄まで・・・知れば知るほど、その魅力にハマってしまうことでしょう。
ポルトガルでアズレージョの絵付け体験をしてみよう!
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