ポートワインはここで生まれる!アルト・ドウロ・ワイン生産地域

山々の斜面を利用したブドウの段々畑とドウロ川が見渡す限り続くアルト・ドウロ地域。ここではポルトガルの一大名産品であるポートワインがつくられています。眺めても、味わっても気持ちが満たされるこの特別なエリアの見どころを一緒に巡りましょう!

概要と歴史

ポルトガル北部を流れるドウロ川は、スペインを源流としてポルトの町から大西洋に注ぐ長い川です。このドウロ川の上流に位置するアルト・ドウロ地域には、渓谷の斜面を利用した美しいブドウ畑が広がっています。そして、この地域で採られたブドウを使ってつくられるのが、ポルトガルの一大名産品である酒精強化ワイン「ポートワイン」なのです。

アルト・ドウロ地域のワイン生産の歴史はおよそ2000年前、ローマ帝国時代まで遡ります。その後イスラムの統治時代下における空白期間を経たあと、国土回復運動とともに再びワイン生産の勢いを取り戻しました。

現在のポートワインが生まれたのは17世紀頃と言われています。当初のポートワインはイングランドからの需要が特に高く、「ポートワイン」のラベルを貼ったニセモノが流通する事態となりました。

1756年、ポンバル侯爵はポートワインのブランド価値を守るためワイン生産管理のための会社を設立し、指定された生産地以外でつくられたワインをポートワインとして輸出することを禁止します。これは世界で初めての「原産地統制呼称制度」と言われており、その後フランスやイタリアなどでも同様の制度が普及することとなります。

アルト・ドウロ地域で醸造されたワインは、冬を越したあとにドウロ川をはるばる下り、ポルトの対岸の町であるヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアにて熟成・ビン詰めをされます。今でこそ交通網の発展によりトラックで簡単に運ぶことができますが、かつての輸送手段は船でした。穏やかに見えるドウロ川ですが、ワインを運ぶ船旅は常に危険と隣り合わせ。底の浅いラベーロ船にワイン樽を何個も括り付けてハードな船旅を繰り返していたのです。

今ではラベーロ船を使ってワインが運ばれることはありませんが、ポルトやアルト・ドウロの町で川のほとりに浮かぶラベーロ船は名物のひとつとなっています。

歴史あるワイン産地のアルト・ドウロ地域が世界遺産に認定されたのは2001年のこと。総面積は25万ha、全部で13の自治体にまたがるエリアの広い世界遺産です。小高い山から険しい山まで、どこまでも続くブドウの段々畑とその間をくねくねと流れるドウロ川の景観は、どこか郷愁感ただよう美しさが印象的ですよ。

基本情報

アルト・ドウロ地域を訪れるのであればドウロ川とブドウの段々畑の景観は見逃せません。アクセス方法やプランによって、思い思いの過ごし方ができるユニークな世界遺産でもあります。ぜひ事前のプランニングで、どのようにアルト・ドウロ地域を満喫するのかリサーチをしてくださいね。

アクセス難易度

アクセス難易度:★★☆
★☆☆…簡単!ポルトガル観光定番スポット
★★☆…やや難。大都市からちょっと足を伸ばして
★★★…奥地。電車やバスを乗り継いで

アルト・ドウロ・ワイン生産地域内の代表的な町は、バスまたは電車でのアクセスも容易。また、見どころのひとつでもあるブドウの段々畑の景色が満喫できるクルーズツアーなどは、オンシーズンのポルトガル観光には欠かせない存在です。

しかしポルトからは少し距離があり、訪れる町によっては交通の足が限られてきます。また、ワイナリーなどは駅やバスターミナルなどから離れた場所にあることが多いので、タクシーやツアーなどをうまく活用するのがおすすめです。

アルト・ドウロ・ワイン生産地域へのアクセス方法

アルト・ドウロ・ワイン生産地域とされるエリアの中には、交通の要所にもなっている町がいくつかあるので、移動はそれらの町を拠点に動くのがおすすめです。ドウロ川沿いにある町のレグアとピニャオンを訪れるのであれば鉄道またはクルーズ船を、ヴィラ・レアルやラメゴなどやや川から離れた町を訪れるのであればバスで向かうのが乗り換えも少なくおすすめです。

ポルトからのアクセス

・鉄道:ポルトのサン・ベント(São Bento)駅またはカンパニャ(Campanhã)駅からレグア(Régua)駅行きまたはポシーニョ(Pocinho)駅行きの普通列車(RまたはIR)に乗車。レグアまでおよそ2時間、ピニャオン(Pinhão)駅までおよそ2時間半。

・バス:ポルトのバスターミナル(Campo 24 de Agosto)からヴィラ・レアル(Vila Real)のバスターミナルまでおよそ1時間~1時間半(rede expressos社利用)。ラメゴ(Lamego)のバスターミナルまでおよそ3時間(乗り換えあり・rede expressos社またはciti express社利用)。ラメゴやヴィラ・レアルからレグアまではバスで15~30分ほどです。

・クルーズ:ポルトからの往路または復路をクルーズ(もう一方はバスまたは電車)で、ブドウ畑を眺めながら船旅を楽しめるツアーもあります。レグアまで片道およそ6時間の旅です。昼食付き・現地でのワイナリー訪問・一泊ツアーなど種類はさまざま。
参考:Cruzeiros Douroクルーズツアー

観光の所要時間

アルト・ドウロ・ワイン生産地域の観光所要時間:1日~2日

アルト・ドウロ・ワイン生産地域を訪れるのであれば丸一日はほしいところ。緩やかに流れるドウロ川と同じペースで、ゆったりとした時間を過ごすことをおすすめします。また、ワイナリーの中には宿泊施設が併設されているところもあります。ブドウの段々畑、そしてその間を縫うように流れるドウロ川がどこまでも続く絶景を眺めながら過ごしたいですね。

この町がおすすめ~ドウロ川を下る旅~

アルト・ドウロ・ワイン生産地域は複数の自治体にまたがる広範囲の世界遺産です。

ここではドウロ川の上流から下流のポルト方面へ向かいながら、観光地として訪れやすい場所に中心に、それぞれの見どころをご紹介します!ブドウの段々畑の雄大な景観を堪能できる町から、歴史的建造物が残る町まで、ひとつひとつは小さな町ですがきらりと光る魅力がありますよ。

ポシーニョ(Pocinho)

ポルトからドウロ川沿いを走る電車の終着駅がポシーニョです。スペインの国境はもうすぐそこ。内陸深くまで進んだこのエリアは、のどかなブドウ畑というよりも、険しくゴツゴツとした岩肌が目立つところも多いです。はるばるこの内陸奥深くまでたどり着いたら、もうひとつの世界遺産「コア遺跡」は必見ですよ。
※コア遺跡についてもっと詳しく!→「2万年前に描かれた岩絵を見に行く!ポルトガルの奥地コア渓谷

ピニャオン(Pinhão)

ポシーニョからドウロ川下流方面へ電車で走ることおよそ1時間、ピニャオンもぜひ立ち寄りたいおすすめの町。電車を降りてまず目に入るのが、駅舎の壁にずらりと描かれたアズレージョの絵です。その絵はどれも、アルト・ドウロ地域で代々伝わるブドウの収穫風景とワイン造りの様子を描いたもの。まるでアトリエのような、見ごたえのある美しいアズレージョですよ。

ピニャオンの港からは、ラベーロ船で1~2時間ほど、ドウロ川をクルーズできるショートツアーも開催されています。電車やバスで訪れた方は、ぜひここで川面からの景色も楽しんでくださいね。

また、ピニャオンにはおすすめのホテルもあります。アルト・ドウロ地域で1泊、と考えている方は要チェックです。
※ピニャオンのホテルについてもっと詳しく!→「ブドウ畑を眺めながら贅沢なひと時を。ザ ヴィンテージハウス ホテル

レグア(Régua)

ピニャオンから電車でさらに30分ほど下流へ。かつてよりワインの集積地として栄え、今でもアルト・ドウロ地域の中心的な町がレグア(ぺソ・ダ・レグア)です。歩いて行ける距離に多数のワインショップやレストランがあるので観光もしやすい町でしょう。また、川のほとりには遊歩道も整備されているので川や畑を眺めながらの散策にもぴったりの場所ですよ。

レグアの見どころのひとつが、ドウロ博物館。ポートワインの歴史からブドウの種類、ワイン生産に使用される器具の展示など、ここを訪れればアルト・ドウロ地域のワインづくりについて知り尽くすことができる、充実の展示内容です。

ドウロ博物館(Museu do Douro)
住所:Rua Marquês de Pombal 5050-282 Peso da Régua
営業時間: 10:00~18:00(3月~10月) 10:00~17:30(11月~2月)
休業日: 1/1・5/1・12/25
入場料:6€(そのほか系列レストランでのランチが含まれるチケットやコア博物館とのコンビネーションチケットなどもあります)
HP: ドウロ博物館

ラメゴ(Lamego)

最後に少し寄り道を。レグアからドウロ川を離れてバスでおよそ15分のところにあるラメゴも、ぜひ立ち寄りたいおすすめの町です。

ジグザグ階段の上にある教会が町のシンボル。ノッサ・セニョーラ・ドス・レメディオス教会(Santuário de Nossa Senhora dos Remédios)という名の教会までにたどり着くには、600段ほどの階段を登ります。どこかユーモアが感じられる彫刻を楽しみながら、教会までの道のりを進みましょう。

ラメゴの名物は発泡性ワイン(ラポゼイラ)と熟成生ハムです。アルト・ドウロの旅のしめくくりにもぴったりの、最高の組み合わせですよ。

スポットマップ

まとめ

歴史と伝統、そして素晴らしい景観のあるアルト・ドウロ・ワイン生産地域は、ポルトガルワイン好きにはたまらない場所です。緩やかな川の流れと、水平模様のブドウ畑の景観を眺めながらポートワインを味わう、そんな贅沢なひと時を過ごしたら、よりいっそうポルトガルのワインに魅了されてしまうことでしょう。
※ポルトガルワインについてもっと詳しく!→「ワイン好きのあなたに!ポルトガルワインを味わうための基礎知識

※各施設・店舗の情報は2021年2月の情報です。今後変わる可能性がありますので、最新の情報は公式HPなどでご確認ください。

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