ポルトガルのパンっておいしいの?おすすめパン8選

ヨーロッパと言えば、パン。外側はパリッと、中はふんわり。 街を歩けば、カフェから焼き立てのパンの香りが漂ってくる・・・。

あなたも、そんなイメージを持っているのではないでしょうか。 ポルトガルもまさにイメージ通りで、パンはとても身近な存在です。 日本人が毎食お米を食べていても不思議ではないように、ポルトガルでは朝も昼も夜も食卓にパンがあります。この記事では、ポルトガル人が愛してやまないパンについてご紹介します。

ポルトガルのパンっておいしいの?

ポルトガル人に欠かせない存在のパン。実際においしいのか気になりますよね。
ポルトガルのパンはおいしいの?という疑問には、私は自信を持って「ポルトガルのパンはおいしいです!」と答えます。

もちろん、“おいしい”というのは個人の感じ方、判断ではありますが、ポルトガルに行ったことのある多くの日本人から、ポルトガルのパンはおいしかった!という感想をもらっているので、一般的においしいと言って問題ないでしょう。

そんなポルトガルのパンの、おいしくて深い世界。早速のぞいていきましょう!

ポルトガルのパンの特徴

ポルトガルのパンは、基本的にシンプルです。そして、しっかりと重みがあります。サイズも大きいものが多く、好きな分をカットして食べます。

日本の食パンや菓子パンのような、ふわふわしたパンはほとんど見かけることはありません。

意外と深いかかわり?!
日本とポルトガルのパン

世界的に見ると、パンの歴史はとっても古いです。 なんと紀元前数千年から食べられていたとか。

古代メソポタミアではすでに小麦粉と水を混ぜて焼いたものを食べていたそうで、その後、エジプトで「発酵」という概念ができ、パンが誕生しました。

後にエジプトと交流のあったギリシア人がヨーロッパへ伝え、ローマ帝国でパンが量産されるようになります。ポルトガルは紀元前19年頃から5世紀まで、ローマ帝国の支配下にありました。そのため、おそらくこの頃から、ポルトガルでもパンが食べられていたことでしょう。

ちなみに、ポルトガル語でパンは、Pãoと表記し「パォン」と発音します。

きっとあなたはすでにお気づきだと思いますが、日本に初めてパンを伝えたのはポルトガル人でした。16世紀半ばに、種子島に漂流したポルトガル人により鉄砲が伝わったのは有名ですが、この時、パンも一緒に伝えられていたのです。

残念ながら、江戸幕府の鎖国政策により、しばらくパン作りは長崎の出島以外では禁止されていましたが、その後明治時代に西洋文化が花開くとパンは日本でも作られるようになったのです。
日本でパンは、独自に発展していくことになりますが、英語のブレッドではなく、パンと呼ばれていることから、ポルトガルが少し身近に感じますね。

ポルトガルのおすすめパン8選

ここからは、ポルトガルで食べられるおすすめパンを紹介します! 日本では食べられる場所はほとんどないですが、ポルトガルに行くときにパン屋さんやホテルで見かけると思います。ぜひ参考にしてくださいね。

カルカッサ Carcaça

食卓に登場することが多いとってもシンプルなパンです。 材料も小麦粉・水・イースト・塩のみ。

小さめで楕円型や細長い形をしています。外はカリカリで、中はふわっとした触感です。オリーブオイルを付けたり、バターを塗ったり、チーズやハムをはさんだりして食べます。

パン屋さんだけではなく、一般的なスーパーなど、ポルトガル全土どこでも見つけることができます。1つ、20セント(約25円)くらいと、お値段もとってもお手頃です。

ブロア Broa de milho/Broa de Avintes

個人的に私が大好きなパンです。 英語で言うと、コーンブレッドですが、日本の甘くてふわふわしたコーンブレッドとはずいぶん違います。

材料は、トウモロコシの粉・小麦粉・塩・砂糖・イースト・水・オリーブオイル。トウモロコシの粉と小麦粉をだいたい半々で混ぜるので、小麦粉だけのパンよりもどっしりしています。

カットするとポロポロするので、小さめのサイズで食卓に並べられます。レストランでも、カットされた状態でカゴに入れて出されます。 バターだけではなく、パテを塗ったり、チーズと一緒に食べたり、スープにつけたりするとおいしいですよ。

またこのブロアは大きく分けて2種類あります。

一つは、今までご紹介していた中が黄色のブロア・デ・ミーリョ(Broa de milho)。

もう一つが、黒いブロア・デ・アヴィンテス(Broa de Avintes)。

こちらはライ麦がはいっていて、黒くしっとりしているのが特徴です。ブロア・デ・ミーリョよりもさらにずっしり重みがあり、ほのかなライ麦の香りを楽しめます。独特の甘みが癖になります。

ポルトから車で20分ほどのアヴィンテス(Avintes)という町で、300年以上も伝統的に作られています。パン専用の大きなオーブンで、約5~6時間かけて焼くので、なかなか簡単には真似できないパンです。

パォン・デ・マフラ Pão de Mafra

リスボンの郊外、マフラ(Mafra)で伝統的に作られているパンです。

見た目は大きく、ゴツゴツしていますが、噛めば噛むほど味わい深いパンです。 日本で食べられているバタールがイメージに近いかなと思います。 外はカリカリ、中はモチモチとした食感です。

実はこのマフラパンは、EUの地理的表示保護(以下、IGP)に規定されています。 マフラで、認定された方法で挽かれた小麦粉を使用し、水分を80%以上含み薪ストーブで焼かれたものではないといけないなど規定があるのです。

✔ EUの地理的表示保護(IGP)とは
原産地の特徴と結びついた特有の品質や社 GI:Geographical Indication 会的評価を備えている産品について,その原産地を特定する表示であり,著名な例として は,パルマハム,ロックフォールチーズ,シャンパンなどがある。これに関する代表的な 定義としては, 協定で 「ある商品について,その確立した品質,社会的評価その TRIPS ,他の特性が当該商品の地理的原産地に主として帰せられる場合において,当該商品が加盟 国の領域又は領域内の地域若しくは地方を原産地とすることを特定する表示」と定義され ている( 協定第 条第 項)。 農林水産政策研究所 『地理的表示の保護制度について -EU の地理的表示保護制度と我が国への制度の導入- 研究報告書 』より

ボーロ・ド・カコ Bolo do Caco

マデイラ島発祥の丸く平たいパンです。 小麦粉に茹でたサツマイモを加えて作ります。すりおろしガーリックとイタリアンパセリを刻んでバターに混ぜ、温かいうちにたっぷり塗って食べます。

ボーロはポルトガル語で「ケーキ」、カコは「破片」という意味があります。

「なぜ破片?」と、不思議に思うかもしれません。 名前の由来はさかのぼること、16世紀。

当時の王様が、一般家庭にオーブンを設置することを禁止したことで、 庶民はオーブンを使うためにわざわざ使用料を払わなければいけませんでした。

マデイラ島は火山が噴火してできた島。そこら中に玄武岩の破片がありました。 そこで、庶民はこの玄武岩を温めてオーブン代わりに使い始めたそうです。

今では鉄板で焼くのが一般的ですが、こんな由来があるのですね。

本土では一般的ではないですが、スーパーなどではたまに見かけます。 マデイラ島に行く機会があれば是非試してください。

パォン・アレンテジャーノ Pão alentejano

パンアレンテジャーノは、アレンテージョ地方のパンです。 どーんと大きな丸形で、帽子のような形をしています。

アレンテージョ地方は、夏は暑く冬は寒い、ポルトガルの中でも厳しい気候を持つ地域です。昔は農業以外に仕事がなく、貧しい暮らしをする人も多かったことから、パンは大事にされてきました。パン・アレンテジャーノは、焼きあがってから時間がたった後も捨てられることなく、色々な形で料理にアレンジされ、食べられました。そのため、アレンテージョ地方には今もパンを使った料理が残っています。

フォガッサ・ダ・フェイラ Fogaça da Feira

塔のような形をしたこちらのパンは、フォガッサ・ダ・フェイラと呼ばれます。 小麦粉に卵とバターをたっぷり加えて作るので、中はふわふわしています。またお砂糖とシナモン、レモンが入っているので、ほんのり甘く菓子パンの様です。

サンタ・マリア・ダ・フェイラ(Santa Maria da Feira)という町で、何世紀も前から作られている伝統的なパンです。ポルトガルの3代目の国王アフォンソ2世が作るように命じたことから始まった、という説もあります。

フォガッサ・ダ・フェイラもEUのIGPに規定されています。このパンは、サンタ・マリア・ダ・フェイラでは町中で売っていますが、他の地域ではあまり見ることがありません。サンタ・マリア・ダ・フェイラは夏の中世祭りが有名なので、その時期にあわせて旅行してもいいですね。ちょっと珍しいご当地パンです。

パォン・デ・センテイロ Pão de centeio

Traditional slices of grain seed bread on white background

パン・デ・センテイロは、楕円型のライ麦パンです。 ライ麦粉と水、塩、オリーブオイル、イーストだけで作るとてもシンプルなパンです。通常の小麦粉だけのパンより栄養価が高いこともあり、また価格もリーズナブルなので人気があります。

こちらも食卓によく登場します。バターやオリーブオイルを塗ったり、スープに浸けたり、トーストして朝食にしたりと、ポルトガル人にとってとても身近なパンです。

レゲイファ Regueifa

レゲイファは、ポルトガルの北部で伝統的に日曜日に食べられることの多いパンです。ツイストした、直径40㎝くらいの大きなドーナツ型が特徴的です。

小麦粉・水・イースト・塩だけで作られるシンプルなパンですが、中がふわふわとしていて日本人にも馴染みやすいパンと言えるでしょう。

日曜日以外でもパン屋やスーパーマーケットで購入できます。

パンのあるポルトガルの暮らし

ポルトガル人にとってはパンはとても身近な存在です。

ポルトガル人はパンをどこで買うの?

多くの人がスーパーでパンを買っています。スーパーには必ずパンコーナーがあり、既にパッキングされたものからスタッフにオーダーし好きな量だけ包んでもらうこともできます。

たくさん食べるので、購入するパンの量も半端ないです!

もちろん毎日パン屋さんに買いに行く人もいます。出来立てのパンを朝ごはんに食べれるなんて、とても贅沢ですよね。 効率ばかりを求めず、人生を楽しむポルトガル人のライフスタイル、うらやましいですね。

トースターいらず!朝ごはんにパン焼き器

朝ごはんは、バターをたっぷり塗ったトーストとミルクコーヒーが定番です。 ポルトガルにはパンをトーストするだけのシンプルなアイテムがあります。

 

Guimaraes&Rosa(ギマランイスイホーザ) ポルトガル伝統パン焼きトースター(ガスコンロ、ガス火用)

これ、実はとても優れもので、トースターがなくても、中はしっとり外はこんがり焼けてしまうのです!さらにトースターを使うよりも早く出来上がるので、忙しい朝にもぴったりです。

寮で暮らすポルトガル人の学生さんたちが結構使っているそうですよ。 このパン焼き器、なんと日本でも輸入販売されています。

まとめ

実はおいしいパンに溢れている!パン天国のポルトガル。 こちらの記事では日本では知られていないポルトガルのパンについてご紹介しました。 ポルトガルを旅行する際は、ぜひ色々なパンを試してみてくださいね。

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