一歩足を踏み入れると、まるで映画の中にいるような気分にさせてくれる村々。
それが、ポルトガルのヒストリック・ビレッジ(歴史的集落群)です。
初めてのポルトガル旅行では、あまり行くことがないかもしれませんが、ポルトガルらしい家々を見ることができるこれらの村は、ポルトガル好きにはたまらない魅力がたっぷり!
こちらの記事では、ヒストリック・ビレッジに指定されている12の村をご紹介します。
ポルトガルのヒストリック・ビレッジとは?
ヒストリック・ビレッジとは、ポルトガル政府が指定している歴史的な村々のことです。ポルトガル語では、Aldeias Historicasと呼ばれています。
どの村も都会とは離れた奥地にあり、その村だけがまるで時間が止まったかのような特別な空気が漂っています。
ゆっくりとした時間の流れや可愛らしい家々が、訪れる人たちを魅了します。
ポルトガル全土で、12か所の村がこのヒストリック・ビレッジに指定されています。
ポルトガル新聞社Expressoのガイドブック
ヒストリック・ビレッジの指定は、2007年に始まりましたが、度々ポルトガル国内でもプロモーションが行われています。
先日も、ポルトガルの新聞社Expressoで新聞を買うとおまけでこのヒストリック・ビレッジを紹介するガイドブックが付いてくるキャンペーンがありました。
写真のような形で、ペーパーバッグの中に新聞と小さなガイドブックが入っています。通常の新聞よりも、なんだか特別感がありますね。
それぞれの村の紹介やお勧めのグルメなど、細かな情報が載っていてワクワクさせてくれます。
このガイドブックの情報や実際に私が訪れたときの感想なども含め、12か所を一挙にご紹介します!
ヒストリック・ビレッジ12か所
早速、12か所の村をご紹介します。
- ALMEIDA(アルメイダ)
- BELMONTE(ベルモンテ)
- CASTELO MENDO(カステロ・メンド)
- CASTELO NOVO(カステロ・ノーヴォ)
- CASTELO RODRIGO(カステロ・ロドリゴ)
- IDANHA-A-VELHA(イダーニャ・ア・ヴェリャ)
- LINHARES DA BEIRA(リニャレス・ダ・ベイラ)
- MARIALVA(マリアルヴァ)
- MONSANTO(モンサント)
- PIÓDÃO(ピオダン)
- SORTELHA(ソルテーリャ)
- TRANCOSO(トランコーゾ)
どこの村も、ポルトガルの中部に位置しています。
ALMEIDA(アルメイダ)
空から見ると星型に見える要塞に守られた村、アルメイダ。この要塞は全長2500メートルに及びます。
他の村よりも規模が大きいので、村というよりも町という雰囲気です。
スペインとの国境付近にあり、歴史的に重要な防衛拠点として活躍してきました。要塞は17世紀から18世紀に築かれたもので、多くの戦いからポルトガルを守ってきました。
要塞の壁の中には、今でも歴史ある建物が残ります。要塞見学だけではなく町歩きも楽しめます。
BELMONTE(ベルモンテ)
ポルトガルらしい石造りの町並みが残るベルモンテは、大航海時代にブラジルを発見したペドロ・アルヴァレス・カブラルの生誕地と言われています。また15世紀から16世紀にかけて、迫害を受けたユダヤ人を受け入れたことから、今でもユダヤ教の文化が受け継がれています。
CASTELO MENDO(カステロ・メンド)
スペインとの国境近くにあるこの村は、長い歴史の中で多くの戦いの場となってきました。
ポルトガルらしい石造りの2階建ての家々が並び、中世にタイムスリップしたかのような風景が広がります。
村の名前の由来となった、14世紀の初代知事メンドの顔が彫られた石や、彼の妻メンダの顔が彫られた壁が残っており、歴史を肌で感じることのできる村です。
CASTELO NOVO(カステロ・ノーヴォ)
ポルトガル中部のガルドゥーニャ山脈にある小さな村、カステロ・ノーヴォ。
かつて貴族が住んでいたとも言われ、素朴ながら何となく上品な雰囲気を感じられる村です。
もともと12世紀に防衛のための城が建てられましたが、1755年の大地震により崩れ放置され、今では城の塔だけが残り時を刻んでいます。
村の中には、かつて住民がブドウを踏んでワインを作るために使った岩のタンクが残されています。
CASTELO RODRIGO(カステロ・ロドリゴ)
13世紀にポルトガルの所有地となった、丘の上の村カステロ・ロドリゴ。
スペインとの国境付近にあり、北にはドウロ川を見渡すことができます。
現在、お城は一部の壁し残されていませんが、それでもその壮大さから見ると立派なお城だったことが容易に想像できます。
また、かつてはサンティアゴ・デ・コンポステーラへ向かう巡礼者が宿泊する村としても栄えました。
IDANHA-A-VELHA(イダーニャ・ア・ヴェーリャ)
ローマ時代にすでに集落ができ、その後、西ゴート族やアラブ人などが定住した歴史を持つ村、イダーニャ・ア・ヴェーリャ。
そのため、さまざまな文化が交わった貴重な歴史的遺産が残る興味深い村です。
城跡の周りには歩道が作られ見学しやすくなっています。
LINHARES DA BEIRA(リニャレス・ダ・ベイラ)
個人的に、ヒストリック・ビレッジの中で私が一番好きな村です。
こちらもポルトガル人が支配する前にフェニキア人やローマ人、西ゴート族、ムーア人が住んでいた場所で、ローマ時代の遺跡などが残っています。
ポルトガル初代王が、スペイン国境の町グアルダと都市コインブラを結ぶために作ったのが、この村の始まりです。
まるで映画のセットのような中世の雰囲気と、こじんまりしながら整った町並みがとても可愛くおすすめです。
MARIALVA(マリアルヴァ)
絶壁の上にあるこちらの村も、中世に要塞としての役割を果たしていました。
町中には美しいマヌエル様式のドアのある教会があり、石造りの家々が並びます。
こちらも、かつてサンティアゴ・デ・コンポステーラへ向かう巡礼者が泊まる村として使われていました。
MONSANTO(モンサント)
ヒストリック・ビレッジの中で一番知られていて観光客が多いのが、このモンサント。
大きな岩に埋もれたように建つ家々が、モンサントらしい風景を作っています。「ポルトガルで最もポルトガルらしい村」と呼ばれるほど、人気のある村です。
実際に住んでいる人は、おおよそ100人程度。日中、町中にいる人のほとんどが日帰り旅行者です。そのため、モンサントに一泊すると、夜と朝は自然の音しか聞こえない静まり返った町に癒されることでしょう。
PIÓDÃO(ピオダン)
深い山の中に突如現れる、おとぎ話の中のような村ピオダン。
村がある地域で採られる平べったい片岩を積み重ねて建てた家々が並び、美しい景観を作り出しています。
ダークな色合いの片岩の家々には、真っ青に塗られたドアが不思議とマッチし、どこを撮っても絵になる町並みです。
山奥にあることから、昔は島流しのように、訳ありの貴族が身を潜めていたこともあるのだとか。
ライトアップする夕方が一番美しいので、できれば1泊したい村です。
SORTELHA(ソルテーリャ)
高さ760メートルの断崖絶壁に建てられた城を持つ村、ソルテーリャ。
敵もこの絶壁の城を攻撃することは難しかったのだろうな、と容易に想像がつきます。
お城と同じように、多くの家々も岩の上に建てられています。こちらも中世から時間が止まったような雰囲気の村です。
TRANCOSO(トランコーゾ)
他のヒストリック・ビレッジと比べると少し大きめな村、トランコーゾ。
こちらもスペインとの国境を守るための要塞として、中世に栄えた村です。15世紀にはユダヤ人も多く住むようになり商業も栄えました。
13世紀に当時の王様デニス王が、税金を免除する市を設けたことが、今も続くトランコーゾの市の起源となっています。
まとめ
ポルトガル政府指定の12のヒストリック・ビレッジ(Aldeias Historicas)を簡単にご紹介しました。
多くの村がスペインとの国境を守るための要塞として活躍していた歴史があり、中世の町並みがそのまま残ったような風景を楽しむことができます。
大きな都市からは少し離れていますが、時間があれば1つや2つは訪れてみると、ポルトガルでの旅がさらに思い出深いものになるでしょう。
それぞれの村の詳細については、別記事で紹介していきますので、そちらも参考にしてください。
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