日本人同士の結婚の場合、配偶者のどちらかの 苗字(名字) を選ぶことになりますが、国際結婚の場合はどうなのでしょうか?
国際結婚をしている人をみてみると、日本の苗字のままの場合や、外国の苗字を名乗っている場合、と色々あります。どれが正しいのか疑問に思ってしまいますよね。
この記事では、ポルトガル人とポルトガル方式による結婚し、苗字を変更した私の経験をご紹介します。
※2018年~2020年時点の経験なので、最新の情報は管轄の市役所や在ポルトガル日本国大使館などの公式な情報も必ず確認するようにしてくださいね。
国際結婚すると苗字は変わるの?
そもそも国際結婚をしただけで、苗字は変わるのでしょうか。
正解は、「ノー」です。
日本人同士の婚姻の場合は、配偶者どちらかの苗字にすることが法律上定められています。
しかし、国際結婚の場合、基本的には夫婦別姓となります。
婚姻届けを在住している国の日本大使館に提出することで、自分が筆頭者となる戸籍が新たに作られますが、その時に登録される氏(うじ)は、今までのものと変わりません。
では、配偶者が日本人の苗字を登録できるのか?という疑問もわいてくるかもしれませんが、これも基本的には「ノー」です。
それは日本独自の戸籍というシステムによるもので、戸籍がない外国人が日本人の氏にすることができないからです。
せっかく結婚したのに夫婦別姓なの?子供ができたとき、子供と苗字が異なってしまうの?
そんな心配がでてきますよね。
国際結婚をしたときに夫婦別姓にするか、同じ苗字にするか、主に3つの選択肢があります。
国際結婚した場合の苗字のつけ方!3つの選択肢
国際結婚をした場合の日本人の苗字について、下記の3つの選択肢が考えられます。
- 苗字を全く変えない場合(夫婦別姓)
- 配偶者の苗字にする場合
- 配偶者の苗字を自身の苗字に加える場合(結合氏)
まずは苗字を全く変えない場合ですが、これは外国で婚姻をし、婚姻届けを在住中の国の日本国大使館に提出することで届け出関連は完了します。特別な手続きはありません。ただし、配偶者との婚姻関係の証明が必要になったとき、婚姻証明書を提示するなどの説明が必要になるケースがあります。
次に配偶者の苗字にする場合(例 山田花子⇒スミス花子)ですが、婚姻後6か月以内に 在住中の国の日本国大使館へ氏の変更届を提出することで、手続きが完了します。ただし、婚姻後6か月を超えた場合は日本にて家庭裁判所の許可を得る必要があります。この場合、配偶者や子供との関係性を説明しやすく、配偶者の国で生活する場合は問題ないでしょう。ただし、日本で生活する場合は少々不便かもしれません。特に配偶者の苗字が長かったり発音しにくい場合は、毎回説明をしなければいけない手間が発生しそうです。
最後に配偶者の苗字を自身の苗字に加える場合(例 山田花子⇒山田スミス花子)ですが、これが手続き上は一番手間がかかります。日本にて家庭裁判所の許可を得る必要があり、おおよそ2か月は見ておいた方が良いでしょう。利点としては、配偶者と自身の苗字を両方名乗ることができるので、どちらの国でも夫婦や子供との関係性が簡単に説明することができます。
私は、結婚後もポルトガル・日本の両方に拠点を持って活動していきたいと思っていたことから、3つめの選択肢を選びました。
配偶者の苗字を自身の苗字に加える方法
ここでは、「配偶者の苗字を自身の苗字に加える方法」についてご説明します。
在住中の国の日本国大使館へ婚姻届を出した後、日本の住所地の家庭裁判所へ「氏の変更」の申立てを行います。
必要書類をそろえましょう
この時に必要になる書類は基本的には下記のとおりです。
- 申立書(裁判所のサイトに申立書の書式及び記載例があります)
- 自身にとって新しい苗字が必要なことを示す資料(ここがポイントです)
- 申立人の戸籍謄本
- 申立人の住民票写し
- 手続代理委任状(弁護士などに代理で手続きをお願いするとき)
申立書に記載する理由ですが、
現地で通称として変更後の氏をすでに使用していること、
配偶者との姓が一致しないことで発生している不具合、
子供に結合氏をつけることを希望していること、などを記載しました。
新しい苗字が必要なことを示す資料(証拠)ですが、私は下記の書類を提出しました。
- ポルトガルの婚姻証明書とその和訳
- ポルトガルの住居証明書
- パスポートの写し
- 配偶者のIDカードの写し
- 変更後の苗字がすでに現地で使われていることがわかる領収書
- ポルトガルで結合氏が一般的に使われていることの説明文
領収書はポルトガルでオンラインショッピングしたときに発行されたものを、いくつか揃えました。あらかじめ、よく買い物するサイトなどでは変更後の苗字で登録しておくと良いでしょう。
裁判所の氏の変更に関するページ
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_19/index.html
申立て~審判の確定~市役所への変更届提出までの流れ
申立書を提出した後ですが、おおよそ1か月後に許可の連絡がきました。
許可が下りた後、審判の確定があり、確定証明書が届きます。
その確定証明書と審判書を管轄の市役所へ、氏の変更届と一緒に提出します。そして、問題がなければ約1週間後には新しい戸籍が登録されます。
おおよそのスケジュール
※2020年の実績です。コロナの影響により通常より時間がかかったと思います。カッコ内の期間は申立書の提出日を基準に記載しています。
- 申立書など一式を家庭裁判所へ提出
- 内容の確認や追加資料の提出など(約2週間後)
- 許可の連絡(約1か月後)
- 審判の確定(約1か月半後)
- 家裁から確定証明書を受領(約2か月後)
- 審判書及び審判確定証明書の提出(約2か月後)
- 改氏後の新戸籍謄本の受領(約2か月半後)
無事に新しい氏にて戸籍謄本が確認できたら、手続き完了です!
ちなみに子供が生まれた場合は、出生届を提出すると、この戸籍の中に入ることになります。
新戸籍謄本ができたら、各手続きをお忘れなく!
さて、無事に氏の変更後の新しい戸籍ができたら、日本での各手続きを行いましょう。
これらの手続きは、日本人と婚姻し苗字が変更したときと同じです。一般的に必要な手続きを記載しておきます。
- 印鑑登録
- マイナンバーカードを取得
- 国民健康保険(第一号の場合)・国民年金の手続き
- 運転免許証の変更
- パスポートの再発行
- 銀行、クレジットカード、生命保険などの変更
- 会社関連の手続き
- 会員登録系の変更
ほとんどの手続きが、日本に滞在しているときにしかできないので、
あらかじめ必要な手続きを調べて計画的に進めましょう。
わからない時は、弁護士さんに依頼しよう!
家庭裁判所での手続き、日常ではする機会がないのでちょっと難しそうですよね。
申立書や添付書類などの作成、代理申請はプロに任せるのも一つの手です。私も弁護士さんに依頼しました。家庭裁判所とのやり取りを全てお任せできるので、時間も短縮になり気持ち的にとても楽でした。
依頼したのは、ポルトガルが大好きな三澤正大弁護士。とても迅速で丁寧に対応してくださいました。もし、慣れない書類準備に時間を取られたくない、書類に不備がないか心配、という場合は、ぜひ弁護士さんに相談してみてくださいね。特に一時帰国中に完了したい場合は、帰国する前から相談しておくとスムーズに進むかと思います。
三澤正大弁護士 サイト https://www.cammino-law.com/
まとめ
今回は国際結婚後の苗字の変更の手続きについてご紹介しました。
これでポルトガル人との婚姻に関連する手続きは以上です。
国際結婚は日本人同士の婚姻より少し手続きが大変ですが、それもいい思い出になるはずです。パートナーとしっかりと協力しながら、計画的に進めていきましょう。
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