ポルトガルに行ったら味わいたい!バリエーション豊かなソーセージ

ポルトガルソーセージ

ヨーロッパのソーセージ大国、と聞くとドイツがまず思い浮かびますよね。でも実は、ポルトガルにも個性豊かなソーセージがたくさんあるって知っていましたか?この記事では、ポルトガルに行ったらぜひ本場で味わってもらいたい、個性豊かな全7種類のソーセージをご紹介します!

多種多様なポルトガルのソーセージ

ポルトガルソーセージ

魚介料理が豊富なイメージのポルトガル料理ですが、実はお肉料理もバリエーション豊か。そして、お肉料理を語るうえで欠かせないのがポルトガルのソーセージです。

ソーセージとは、細かく挽いた肉に味付けをして腸などに詰めた加工品全般のことを言い、ポルトガルではソーセージのことを総称して「Enchidos」と呼びます。そのままでは傷みやすい肉類を長期保存するため、そして肉を余すところなく有効活用するために生み出されました。

古代ローマ時代にはすでに始まっていたと言われているソーセージ作り。ヨーロッパ中に広まるきっかけとなったのが、十字軍遠征や大航海時代でした。異国の香辛料が手に入りやすくなったことで、ソーセージの風味や保存性がさらに向上したのです。13世紀ごろにはヨーロッパ各地でさまざまな種類のソーセージが作られるようになりました。

ポルトガルソーセージ

ソーセージと一言で言っても、肉の種類や部位、加熱や燻製の時間、乾燥工程の有無など多種多様。さらにそのままスライスして食べられるものもあれば、焼いたり揚げたりして食べるものまでさまざまです。ポルトガルにもまた実に多くの種類のソーセージがあり、各地でその土地特有のソーセージが作られています。

ポルトガル料理においては、ソーセージは主に前菜として食卓に上がるほか、ポルトガルの肉料理に欠かせない存在だったり、スープなどのトッピングなどにも使われたりもします。また、大きなスーパーマーケットではソーセージコーナーが棚1列全部を占めていることもあり、初めて見るとその圧巻の品ぞろえに驚いてしまうことでしょう。

ポルトガルのソーセージの種類

ポルトガルソーセージ

ここからは、ポルトガル国内で特にメジャーな7種類のソーセージをご紹介します。スーパーやレストランで手軽に味わえる定番ソーセージから、名産地に行ったらぜひ味わってみたいご当地グルメまで、ポルトガルに行く前にチェックしておきましょう!

ショリソ(Chouriço)

ポルトガルソーセージ

バリエーション豊富でスーパーマーケットでも手軽に買える、メジャーなソーセージのひとつがショリソ。日本では「チョリソー」の呼び方で広く知られているソーセージです。辛いショリソ、蜂蜜やナッツ入りのショリソ、かぼちゃ入りショリソなど、バリエーションも豊富。ポルトガルの定番スープ「カルド・ヴェルデ(Caldo verde)」や鴨ご飯「アホシュ・ド・パト(Arroz de pato)」のトッピングなど、料理に使われることも多いです。

がっつりポルトガルのショリソを味わいたい!というあなたにおすすめなのが、「ショリソ・アサード(Chouriço assado)」です。ショリソ専用の独特の形のお皿の底にアルコールを注いで、火を点けた状態でサーブされる前菜メニューです。青白い炎に包まれて香ばしく焼かれるショリソのビジュアルに、食べる前から盛り上がること間違いなし。

また、多くのパン屋で買えるショリソ入りのパンも軽食にぴったり。入っているのは食べ応えたっぷりのショリソだけ、というシンプルだけど後を引くおいしさです。

リングイッサ(Linguiça)

ポルトガルソーセージ

ショリソよりも細めのソーセージが、リングイッサです。唐辛子の入った辛口タイプ、またはガーリックが効いているものが多いのが特徴。

輪切りにして料理の具材のひとつとして使われることも多く、ポルト名物のボリューミーな肉サンドイッチ「フランセジーニャ」にもよく使用される具材です。

アリェイラ(Alheira)

ポルトガルソーセージ

ポルトガルのソーセージの中でも特に個性的なのが、アリェイラです。ほとんどのソーセージに使われるお肉が豚肉なのに対して、アリェイラにはほとんどの場合で鶏肉が使用されています。

このアリェイラは、15世紀から16世紀にかけてポルトガル国内で迫害を受けていたユダヤ教の人々の知恵から生まれたソーセージです。当時、異端とされてキリスト教に改宗することを強いられたユダヤ教の人々は、その多くがポルトガルの山奥でひっそりと暮らしていました。

ユダヤ教徒にとって、豚肉、また豚由来の素材は禁忌の対象。しかし、ポルトガル内陸部で当時から一般的だった豚肉の腸詰めを作り、食すことは避けて通れません。そこで、隠れユダヤ教徒が考え出したのが、豚肉の代わりに鶏肉(または牛や猪など)を使ったソーセージでした。ラードの代わりにオリーブオイルを、そして肉の種類の違いをごまかすために大量のニンニクを、つなぎとして(またかさ増しの目的として)パンを使って生まれたのがアリェイラです。

名産地・ポルトガル北東部の町ミランデラ産のアリェイラは、「7 Maravilhas Gastronómicas de Portugal」(ポルトガルを代表する7つの絶品グルメ)の前菜メニューのひとつとして選ばれています。クリーミーな食感と独特の風味は、一度好きになるとやみつきになりますよ。

主な名産地:
ミランデラ(Alheira de Mirandela)
モンタレグレ(Alheira de Barroso-Montalegre)
ブラガンサ(Alheira de Vinhais)

ファリネイラ(Farinheira)

ファリネイラも、アリェイラ同様にユダヤ教徒によって生み出されたソーセージです。豚肉を使用しているソーセージと見せかけて、実は豚肉の代わりに小麦粉(Farinha)を使用したことが名前の由来。

現在のファリネイラは原材料にラードが使われているものがほとんどですが、お肉が入っていない異色のソーセージです。やや明るい色味で柔らかく、ラードのまろやかな味わいが特徴。

主な名産地:
グアルダ(Farinheira da Guarda)
エストレモス・ヴィラヴィソーザなど(Farinheira de Estremoz e Borba)
ポルタレグレ(Farinheira de Portalegre)

モルセラ(Morcela)

ポルトガルソーセージ

数あるポルトガルのソーセージの中でも目を引く存在が、このモルセラ。真っ黒な色をしているのは、豚の血が含まれているからです。ブラックプディングという名称でフランスなどでもメジャーな食べ物ですが、日本ではあまり血を食す習慣に馴染みがないので少し抵抗があるかもしれません。

食感も一般的なソーセージのパリッ・プリッとしたものではなく、柔らかいのが特徴です。主な原材料は豚の血・米・小麦粉で、グローブやクミンなどの香辛料のフレーバーが効いています。

主な名産地:
グアルダ(Morcela da Guarda)
ポルタレグレ(Morcela de Assar de Portalegre・Morcela de Cozer de Portalegre)
アゾーレス諸島(Morcelas de S. Miguel)

ブショ(Bucho / Butelo)

ポルトガルソーセージ

ブラガンサやグアルダなど、主にポルトガルの北東部で作られる骨入りソーセージです。パプリカ・ローリエ・ニンニク・ワイン・塩などとともに胃袋に詰めて数週間の燻製を経て完成します。長細いイメージのソーセージに反して、巨大な石の塊のようなゴロっとしたビジュアルが迫力満点です。

主な名産地:
グアルダ(Buchos da Guarda)
セルタ(Bucho da Sertã)
ブラガンサ(Butelo de Vinhais)

サルピカォン(Salpicão)

ポルトガルソーセージ

ポルトガル北部のメルガソや、ドウロ川上流の地域で主に作られるのが、このサルピカォン。豚ロース肉を使用してしっかりと燻製させた味わい深いソーセージです。

チャーシューのように少し分厚くスライスしてパンに挟んでサンドイッチにするだけで絶品。または豆ごはんの上にぎっしりとサルピカォンがトッピングされた「サルピカォンごはん(Arroz de Salpicão)」も一押しメニューです。

主な名産地:
ドウロ~タメガ(Salpicão)
メルガソ(Salpicão de Melgaço)

ポルトガルのソーセージが味わえるメニュー

ポルトガルソーセージ

ポルトガル料理には、ポルトガルのソーセージを活用したメニューもたくさんあります。こちらでは、ポルトガルのソーセージを味わいたい!というあなたにおすすめのポルトガル料理をご紹介します。

ソーセージ盛り合わせ(Tábua de enchidos)

ポルトガルソーセージ

まずはソーセージをシンプルに味わえるメニューから。前菜としてよく登場する、3~4種類ほどのソーセージの盛り合わせです。チーズやオリーブ、クラッカーなどと盛り合わせになっていることもあります。

この一皿があるだけで食卓が一気に華やかになって、ビールやワインが進んでしまう魅惑の一品。食事前に軽く一杯、というときにももってこいのメニューです。

コジード・ポルトゲーサ(Cozido à portuguesa)

ポルトガル料理

ソーセージや牛肉や豚肉、じゃがいもやニンジンなどの具材をコトコト煮込んだ、ポルトガルのポトフのような伝統料理です。それぞれの食材から出た旨味たっぷりのスープで炊いたご飯を添えていただきます。

ソーセージはショリソやファリネイラ、モルセラ、サルピカォンなど複数種類が入ることが多く、一度にたくさんの種類のお肉を味わえるボリューミーで贅沢な一品です。

フェイジョアーダ(Feijoada)

ポルトガル料理

ブラジル料理という印象が強いフェイジョアーダも、ポルトガルのレストランでよく見られるメニューです。豚肉やベーコンと一緒にショリソなどのソーセージが使われます。

黒インゲン豆を使用することが多いブラジルのフェイジョアーダに対して、ポルトガルのフェイジョアーダでは主に赤インゲン豆または白インゲン豆が使われます。また、ニンジンやトマトなど野菜が入るのも特徴です。

アリェイラ・ア・ブラシュ(Alheira à Brás)

ポルトガル料理

ポルトガル料理のなかでも特に人気のバカリャウ・ア・ブラシュ。干し鱈のバカリャウと千切りにしたフライドポテト、たまねぎを卵でとじた料理です。この料理を、バカリャウではなくアリェイラを使ったのがアリェイラ・ア・ブラシュです。

バカリャウの旨味たっぷりのブラシュに対して、アリェイラ・ア・ブラシュは鶏肉の旨味と香辛料の奥深い味わいが特徴。マイナーなメニューですが、もしもレストランで出会ったら注文してみてくださいね。

お土産にするのは残念ながらNG

スーパーなどで売っているソーセージは密封されているものが多く、常温で長期保管も可能。…とすると、お土産にも持って帰りやすそう!と思いたくなりますが、ソーセージを含む肉製品は、海外から日本へお土産として持ち込むのは基本的にNG。2020年には「家畜伝染病予防法」が改正され、畜産物の輸出入検疫がより強化されました。

ポルトガルのソーセージは現地でだけ味わえる限定グルメ、ということで、ポルトガルに行った際に思いっきり味わってきたいですね。

まとめ

ポルトガルソーセージ

行ってみてびっくり、多種多様なポルトガルのソーセージ事情でした。ポルトガル料理全体の中ではワインやビールなどの引き立て役のような存在かもしれませんが、個性豊かな味わい・食感・見た目で、一度味わうときっと印象に残るポルトガルグルメです。ぜひ本場でしか味わえないポルトガルのソーセージも、あなたの「食べたいものリスト」に追加してくださいね。

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