今すぐ行きたくなる!ポルトガルのカフェとコーヒーの世界

ここ数年で、こだわりのコーヒー専門店が都内を中心に続々とオープンしています。有名なコーヒーブランドには、連日行列ができるほど。東京以外でも、コーヒーの焙煎所や地方プロデュースのコーヒー専門店を見かけることが多くなりました。

日本のコーヒーブームは何度かありましたが、今は疲れや眠気をとばすためのコーヒーから、数が少なくなった純喫茶ブームの再来もあって、コーヒーの産地や味わいをじっくりと楽しむ傾向にあるそうです。

ポルトガルは、実はヨーロッパの中ではコーヒーの消費量がそれほど多くはない国なんです。
とは言っても、ポルトガル人1人あたり平均して1日3杯飲む、という統計があるほどコーヒーを飲む習慣があるのです。

絶対、紅茶派!という人やコーヒーはちょっと苦手・・・という人も、ポルトガルのカフェ文化やコーヒーの魅力に触れてみると、少し試してみたくなるかもしれません。
(私自身も、ポルトガルに行くまではコーヒーが全然飲めませんでしたが、ポルトガルのコーヒーの美味しさと飲みやすさに感動した一人です。)

今回は、ポルトガルのコーヒーの歴史や文化、ポルトガル人のコーヒーの飲み方やカフェでの注文方法など、盛りだくさんの内容でご紹介していきます。

ポルトガルのコーヒーヒストリー

コーヒーの起源は、アフリカ東部エチオピアとされています。コーヒーの赤い実は、そもそもは栄養価の高い”食べ物”として食されていました。
その後、7世紀頃からアラブ人によって、コーヒーが飲み物として広く栽培されるようになります。

17世紀、イタリアでコーヒー豆が商品として流通し始めると、フランスに続いてヨーロッパ全域に『コーヒーハウス』が生まれます。

コーヒーハウスとは、一般大衆向けにコーヒーを提供する場所で、今のカフェの前身のような位置づけとされます。
当時のコーヒーハウスには、芸術家やインテリに資本家、商人が通い、政治や経済を議論する社交の場になっていました。

18世紀には、ポルトガルがコーヒープランテーション(=大農園)の造成に大きな役割を果たします。
コーヒーの種をブラジルに持ち込み、そこで栽培したものをアフリカのサントメ・プリンシペやカーボ・ヴェルデに輸出しました。

アンゴラでは、ポルトガル人宣教師の手によってコーヒー栽培の技術が伝えられ、コーヒーの産地として知られるようになります。

いずれの国も、当時はポルトガルの植民地でした。

ちょうどその頃、リスボンを中心にパリのクラシックな装飾に触発された『パブリック・カフェ』が続々とオープンします。
やはり当初は、ポルトガルの著名な芸術家や思想家たちが通っていたそうです。

今でも、ポルトガルの有名な詩人フェルナンド・ペソーア(Fernando Pessoa)が愛したカフェには、連日、多くの観光客が訪れています。(このあとの【一度は訪れたいポルトガルの老舗カフェ】でご紹介します。)

20世紀に入り、コーヒー豆を販売する会社が次々と誕生し、庶民の間にもコーヒーを飲む習慣が定着していきます。

続いては、ポルトガルにある貴重なコーヒー農園について、ご紹介します。

コーヒーの原産国というと、アフリカや東南アジアが主流ですが、なんと!ポルトガルにはヨーロッパ唯一のコーヒープランテーションがあるんです。

ポルトガルのリスボンから飛行機で約2時間半、大西洋上に浮かぶ美しい島々・ポルトガル領アソーレス諸島(Arquipélago dos Açores)の「サン・ジョアン島(Ilha de São João)」に、家族経営の小さなコーヒー農園とカフェがあります。

カフェの名前は「カフェ・ヌーネス(Café Nunes)」。

カフェの裏手には、農園主のマヌエル・ヌーネスさんが愛情込めて育てる約400本のコーヒーの木が植えられています。

19世紀にブラジルからの移民によって、この島にコーヒーの木が持ち込まれました。
ヌーネスさんが約35年前に、わずか6本の苗木から始めた農園で、有機栽培にこだわり、摘み取りから焙煎まで全て手作業です。
この希少なコーヒーの味だけを求めて、島の外からわざわざ訪れる人がいるぐらいなのだとか。

また、アソーレス諸島特有の『ファジャース(fajãs)』とポルトガル語で呼ばれる特徴的な地形が、ユネスコの生物圏保護区に選ばれていて、コーヒー栽培にも適した気候風土なのです。

※ファジャースとは、他にポルトガル領マデイラ諸島、スペイン領カナリア諸島にもみられる、溶岩流や地すべりなどで形成された崖のふもとに出来た平地を指します。

カフェからすぐ目の前に広がる海を見ながらの1杯は、きっと格別に違いありませんね。

徒歩でしか行けない、住民70人ほどの小さな村にあるカフェ。
コーヒー好きの方には一生に一度は訪れてみたい場所ですね。

日本のコーヒーヒストリーについて、もっと知りたい方は、こちらをご参照ください。コーヒーの歴史|知る・楽しむ | コーヒーはUCC上島珈琲

引用元:カフェ・ヌーネスについての記事

ポルトガルのコーヒーの種類と注文方法

ポルトガルのカフェには欠かせない「エスプラナーダ」

ポルトガルのカフェには、注文するのに迷ってしまうほどコーヒーの種類があります。

どのカフェにも必ず全種類揃っているとは限りませんが、その呼び名と内容さえ知っていれば、ポルトガル語だけのメニューを渡されても指をさすだけで頼みやすくなります。もしかしたらメニューになくても作ってくれるかもしれません。

ポルトガルには、たくさんのカフェがあります。

日本でカフェと言うと、毎日行くというよりは、お目当てのスイーツやドリンクを家族や友人と食べに行く、非日常な雰囲気や景色に癒されに行くという場所のイメージがあります。

ポルトガル人にとっては、カフェはもっと身近な存在なのです。(カフェついでに、日課の焼きたてのパンを買って帰ることもよくあります。)

もちろん、リスボンやポルトなど観光客が多く訪れる都市には、日本と同じようにコンセプトや調度品に凝ったカフェも多く見られますが、普段使いのカフェが1つの住宅地に3~4軒あるのが当たり前と言っていいほど、街中には日本のコンビニのようにカフェがあります。

ほとんどのカフェには、室内と「エスプラナーダ(esplanada)」=建物前のスペースというテラス席があります。
夏は日差しが強いですが、パラソルをつけてくれるので大丈夫。湿気が少ないので、晴れた日は外がおススメです。

カフェでの注文方法

基本的に空いている席に座っていると、店員が注文を取りに来てくれますが、最初にお店のカウンターで頼む場合もあります。

たまに「そこは常連さんの席なの。」と言われることもあります。でも、初めての人お断りという意味ではなく、ちゃんと他の席を用意してくれるので、ご安心を。

注文する時は、コーヒーの名前の後にポルトガル語で「お願いします。」という意味の「ポル・ファヴォール!(Por favor!)」を付けると丁寧です。
イラスト付きのメニューが手元にある場合は、指を指して「お願いします。」だけでも伝わります。

コーヒーに合わせるスナックやスイーツは、室内のショーケースに入っていることが多いので、一緒に見に行って頼むのが確実です。

支払はテーブルで済ませることが多いです。ただ、配膳のタイミングで、その時に支払えなくても最後にカウンターで支払うことも出来ます。いずれの場合もこのフレーズが役に立ちます。

「ア・コンタ、ポル・ファヴォール(A conta, por favor.)=お会計お願いします。」と言えば、レシートを持ってきてくれるか、見せてくれます。これなら、数字を聴き取れなくても分かるので、間違いがなく安心です。

コーヒーの種類と由来

コーヒーの種類と言っても、銘柄が色々あるというよりは、とにかく飲み方にいろいろと工夫や意味があるのがポルトガルのコーヒーの面白いところです。

ここからは、ポルトガルカフェデビュー!には押さえておきたいコーヒーの種類と飲み方や由来について、ご紹介していきます。

・エスプレッソ(Expresso)

日本でもエスプレッソと聞けば、小さなマグカップに一口くらい入った、少し苦みの強いコーヒーを思い浮かべると思います。
ただ、ポルトガルのエスプレッソは、そこまで濃くはなく飲みやすい方です。

個人差はありますが、砂糖をたっぷり入れて飲むのがポルトガル流です。

ポルトガルで、この一番スタンダードなエスプレッソタイプのコーヒーを注文する場合には、「ウン・カフェ、ポル・ファヴォール(Um café, por favor.)= コーヒーを1つ、お願いします。」と頼みます。

日本人でコーヒーというと、アメリカンスタイルのマグカップいっぱいに入ったコーヒーが一般的です。
しかし、ポルトガルでコーヒーと言えば、このエスプレッソが基本形になると覚えておきましょう。

ポルトガル語でコーヒーは「カフェ(café)」と言います。(コーヒーを飲む場所もカフェです。)
もちろん、薄目で飲みやすい日本人馴染みのコーヒーの呼び名もあるので、後ほど紹介します。

このエスプレッソタイプのコーヒーを、リスボンっ子や南部の人は「ビッカ(Bica)」という通称で呼びます。

これは、リスボンの有名なカフェ『ア・ブラジレイラ(A Brasileira)』が開業当初、まだ珍しかったコーヒーが苦いと敬遠する人々に、美味しく飲んでもらおうと考えたスローガンが由来になっています。

ズバリ!『Beba Isto Com Açúcar』(砂糖と一緒にこれ(=コーヒー)を飲んでください。)のそれぞれの単語の頭文字を取って付けられたそうです。

リスボン出身の友人が「ビッカください。」や「ビッカ飲みに行かない?」と当たり前に使っているのが印象的でした。

ちなみにポルトガル北部の街・ポルトでは、「スィンバリーノ(Cimbalino)」と呼ぶそうです。

ポルトやその周辺でよく使われているコーヒーマシーンのブランド名がそのままコーヒーの呼び名になったそうで、それだけコーヒーを日常的に好んで飲んでいることが伺えますね。

ブラジルでは、コーヒーをポルトガル語で小さいことを強調する表現で「カフェズィーニョ(Cafezinho)」と呼んでいます。ちょっと響きが可愛らしくなりますよね。

Bicaの由来の引用元: mundoportugues.pt

・シェイオ(Cheio)

先ほどのエスプレッソはカップ半分強くらいの量ですが、「シェイオ」はポルトガル語で「いっぱいの」という意味で、カップすれすれまで入ったコーヒーが出てきます。

・クルト(Curto)

「クルト」は、ポルトガル語で「短い」という意味です。エスプレッソやシェイオよりも少ない量で、カップの底に少し残っているだけという見た目に、ちょっと驚きます。

・ドゥプロ(Duplo)

「ダブル」という意味で、エスプレッソのコーヒーが倍量入ったコーヒーのことを言います。濃くてパンチのきいたドゥプロは、眠気や疲れを取るにはこのドゥプロが一番効くかもしれませんね・・・。

・デスカフェイナード(Descafeinado)

コーヒーが好きでいっぱい飲みたいけれど、カフェインの取りすぎは良くないし、夜飲むと眠れなくなって困る・・・という人にぴったりのコーヒーです。

コーヒーには利尿作用もあるカフェインが含まれていますが、このデスカフェイナードはノン・カフェインなので心配いりません。

こちらも個人差がありますが、夕食後の1杯は普通のコーヒーではなくて、これにするというポルトガル人もいます。味の違いもほとんど感じられません。

お店によっては「カフェインあり/ なし、どちらですか?(Cafeinado ou descafeinado?)」と聞かれることがあります。その場合は「あり/なしでお願いします。」と答えるだけでOKです。「デスカフェイナード、ポル・ファヴォール(Descafeinado, por favor.)」という感じです。

こちらから何も言わなければ、普通のカフェイン入りコーヒーが出てきます。

・ピンガード(Pingado)

ピンガードとは「しずくの垂れる」という意味で、エスプレッソにほんの少し(一滴)冷たいミルクをいれたコーヒーです。ほんのりミルクの味がして、まろやかになります。

この呼び方は主に北部や南部で使われていて、コインブラなど中部では「ピンゴ(pingo)」と言います。(「しずく」という意味。)ちなみに、「ピンガ(pinga)」と言うとコップに入ったワインが出てきてしまいます。(中部でよく聞く表現です。)

・ガロット(Garoto)

先ほどのピンガードとは割合が逆転して、ミルクにちょっとだけコーヒーを垂らしたものです。
これならコーヒーが苦手な人でも飲めそうですね。

・コン・シェイリーニョ(Com Cheirinho)

「シェイリーニョ(cheirinho)」は「香り」という意味です。

エスプレッソに大さじ1程度のアルコール度数の高い蒸留酒を入れる、ちょっと通な飲み方。

「バガッソ(Bagaço)」というサトウキビの搾りカスからできた「アグアルデンテ(aguardente)」(ポルトガル語で直訳すると「燃えるような水」を意味する、40度以上の火酒(かしゅ)のこと。)を使いますが、家庭ではフルーツリキュールやウィスキーを入れて飲むこともあります。

コーヒーの香りと蒸留酒の香りが喧嘩せずいい風味をもたらせてくれますが、度数が高いので、初めて飲んだ時は衝撃的な組み合わせでした。
※お酒が弱い方には、あまりオススメできません。

・カリオカ(Carioca)

かなり薄目のコーヒーで、エスプレッソを入れた後の2番目に抽出されたものです。
「カリオカ」は、ブラジルのリオ・デ・ジャネイロに住む人々を指す言葉でもあり、「湯で薄められたコーヒー」という意味もあります。

同じ名前の入った飲み物で、カフェでも定番のドリンク「カリオカ・デ・リマォン(Carioca de Limão)」があります。「リマォン」はレモンのことで、薄くむいたレモンの皮に熱湯をそそいで砂糖を加えたシンプルなものでありながら、レモンのフレッシュな香りが広がって美味しい飲み物です。

これをポルトガル人は風邪気味な時に飲むそうです。エスプレッソカップに入ったミニサイズ「ペケーノ(pequeno)」とたっぷり飲んで温まれる「グランデ(grande)」が選べます。

ポルトガルではよく見かけるレモンの木

・アバタナード(abatanado)

エスプレッソに全体の1/2くらいの水を入れて薄めたコーヒーです。ブラジルで飲まれるコーヒーに似ていると言われ、軽めのコーヒーを飲みたい人におススメです。
先ほどのカリオカとアバタナードが、日本で言うアメリカンコーヒーに一番近いものです。

・マザグラォン(mazagrão)

マザグラォンは、北アフリカのアルジェリアやモロッコ発祥の飲み物とされています。
エスプレッソに氷を入れて、レモンやオレンジのスライスを添えた変わり種です。

どうしてポルトガルで飲まれるようになったのか理由は定かではないそうですが、ポルトガル版マザグラォンは、シロップやラム酒、ハーブを入れた夏の爽やかな飲み物として、ポルトガル人に好評なんだそうです。

主にリスボンやその周辺で飲まれているもので、北部ではあまり見かけないそうです。

日本では、コーヒーはHOTもCOLDも一般的ですが、ポルトガルやブラジルでキンキンに冷えたアイスコーヒーを飲む習慣はありません。ただ、夏の暑い時期には、氷の入ったコップに熱いエスプレッソを入れて飲むことがあるそうです。

日本の感覚で「アイスコーヒーください。」と頼んでも、キョトンとされてしまうかも。
なぜなら、ポルトガル語の話になりますが、「カフェ・フリオ(Café frio)」と言うと、frio(冷たいという意味)は、この場合「冷めたコーヒー」となってしまうからです。正しくは「カフェ・ジェラード(Café gelado)」と言います。

日本のように、よく冷やしたものを事前に用意していることは少ないのですが、ポルトガルでも「コン・ジェーロ、ポル・ファヴォール(Com gelo, por favor.)=氷を入れてください。」と伝えてみると、「冷たいコーヒー」がちゃんと出てきますよ。

・ガラォン(Galão)

定番のエスプレッソに次ぐ、どこのカフェに行っても必ずある、お馴染みなコーヒー。

耐熱ガラスのグラスにエスプレッソとミルクが入っています。
そのまま飲んでも牛乳のコクがあってまろやかですが、砂糖を入れると甘~くて、疲れが一気に飛ぶ美味しさ!

常連さんはコーヒーの配分を濃いめ「エスクーロ(escuro)」や薄め「クラーロ(claro)」と付け足して頼んで、自分好みのガラォンにしています。

よく朝ごはんやおやつの時間に飲んでいます。
お店によっては、熱々やぬるめであったりといろいろなのですが、そこはご愛嬌で。

・メイア・デ・レイテ / カフェ・コン・レイテ(Meia de Leite / Café com leite)

こちらは、先ほどのガラォンと作り方は一緒なのですが、提供する入れ物が耐熱ガラスのコップではなく、大きめのコーヒーカップに入っていると、この呼び方をします。

「メイア」は半分、「レイテ」は牛乳のことです。

ポルトガルの牛乳のほとんどはロングライフ牛乳なので、日本の牛乳と比べるとさらっとしていて、さっぱりとしています。
※ロングライフ牛乳は、ヨーロッパで普及している常温保存が可能な牛乳。(未開封の場合、約60日間。)スーパーでは、1ダースごとに売られていることも普通です。

・カプチーノ(Cappuccino)、モカ(Moka)

この2つは、日本でも知られているイタリア生まれのコーヒーですが、ポルトガルでも同じで、主に若者中心に好まれています。

カプチーノはたっぷりのミルクの泡に、行きつけになると店員の遊び心で、ラテアートをしてくれることもあります。
モカはチョコレートの甘さとコーヒーの苦さが絶妙です。
どちらもエスプレッソに比べると、大きめのカップたっぷりに提供してくれる飲み物です。

ポルトガルのカフェで1日中、フル稼働のコーヒーマシンも本場・イタリア製を使っているところが多いです。

さらに、日本の若者にも人気の「フラペチーノ」は、ポルトガルでも、ここ10年で流行り出した新参者として、ポルトガルの若者の間では、夏の飲み物の定番になりつつあるそうです。

ご紹介したコーヒー以外にも、それぞれのカフェごとにオリジナルのコーヒーを作っていることもあるので、ポルトガルでカフェ巡りをしてみるのも楽しいかもしれませんね。

今回紹介しただけでも15種類もあるコーヒーの楽しみ方。

ポルトガル人のコーヒーへのこだわりと、飲む人の好みやニーズに寄り添った結果、こんなにも多くの飲み方が生み出されたのかもしれませんね。

コーヒーの種類の引用元:15 tipos de Cafés → Portugal – Viagem e Descobertas

【ポルトガルカフェ・プチ情報】
ポルトガルに日本のようなサービスで出てくる冷水はないので、ミネラルウォーターを購入する必要があります。例えば、1Lのペットボトルをシェアしたり、余ったら持って帰ったりすれば、そこまでの出費にはなりません。

ポルトガルメーカーブランドのコーヒー

ポルトガルのコーヒーの美味しさをカフェで堪能した後は、せっかくなのでポルトガルブランドのコーヒーをお土産に持って帰りたくなりますよね。

ポルトガルでは、日本のコーヒー専門店のように、カフェと豆の販売を同時にしているところは少ないので、メーカーやコーヒーの種類が色々あって選びやすい大型スーパーで買い求めるのがオススメです。

一部のスーパーや土産店などでは、パッケージが観光客向けになっているシリーズもあります。(リスボンの路面電車など、ポルトガルの風景がプリントされています。)

普段、ポルトガル人が日常的にどんなコーヒー(ブランド)を選んでいるのかを知るには、大型スーパーのコーヒー豆(粉やマシーン用のカプセル含む)コーナーを見るのが一番なんだそうです。(ポルトガルの友人談)

実際に、棚にはびっしりとコーヒー豆などが並べられていて、どれにしようか決めるのに迷うほど。
そんな時の参考に、ポルトガルコーヒーのブランドメーカーを3社ご紹介します。

①デルタ(Delta)

1961年創業。ポルトガル南部アレンテージョ地方の村に、創業者が自分のコーヒーブランドを作りたいという想いで建てた小さな焙煎所から始まりました。

1994年にポルトガルのコーヒー市場をリードし、今ではポルトガルNo.1のコーヒーブランドを誇る、世界40ヵ国に展開するビックカンパニーです。バリエーションの多さとこだわりの独自ブレンドが自慢。

公式HP:História da Delta | Delta Cafés (deltacafes.pt)

②シカル(SICAL)

ポルトで1947年創業の老舗コーヒーメーカー。1956年に、ポルトガルではじめて宣伝広告を映画館の幕間やテレビCMで流したブランドとしても有名です。

ブランドのアイコンとして、ブラジル北東部バイーア州の女性たち(奴隷制度時代の黒人たちの文化が今も残る地域)をモデルにした「笑顔の女性」が特徴的です。

これは、コーヒー豆の一番の輸入先ブラジルとの関係に由来するそうです。
ジャケ買いしたくなるパッケージと質の高いコーヒー豆が人気。

公式HP:Diferentes origens do café | SICAL (nestle.pt)

③トーファ(TOFA)

リスボン中心部から少し離れたところに本社を持つ、1962年創業のコーヒー豆販売のパイオニア。1960年代に次々と自社販売の基礎を確立していきます。

今では当たり前になったフィルムパッケージを採用したり、真空充填パックで風味も落とさないようにしたりと、顧客に新鮮でハイクオリティのコーヒー豆を提供するなどコーヒー業界に革命をもたらしました。

主力商品は、クラシック(Clássico))・トラディション(Tradiçã)・エスプレッソ(Expresso)・カフェインレス(Descafeinado)の4つです。

公式HP:Marcas de cafés Portugueses | Tofa (nestle.pt)

この3社以外にも、200年の歴史がある「ニコラ(Nicola)」や、ポルト生まれの「ブオンディ・カフェ(Buondi )」など老舗から比較的新しいコーヒーブランドまで先鋭揃いです。

ポルトガルにある多くのカフェで、これらのブランドのコーヒー豆を使用したコーヒーを提供しています。

カフェの入り口やカウンター近くにブランドのロゴが掲げられているので、美味しいと思ったカフェのブランドを覚えておいて、スーパーで自分用やコーヒーが好きな友人へのお土産にしてみるのも、カフェ巡りのもう一つの楽しみ方になりそうですね。

デルタのコーヒーだけでも、これだけの種類が!

各社のロゴや、ご紹介できなかったコーヒーブランドについてはこちらからどうぞ! Qual a melhor marca de café em Portugal (maquinasdecafe.net)

ポルトガルのカフェ文化

ヨーロッパでは、社交の場としても重要な役割を果たしてきたカフェ。

ポルトガル人にとっても、カフェに毎日行くのはコミュニケーションの場にもなっているからです。

住宅の地区ごとに常連のカフェがあり、隣人や近所の人たちと近況を話したり、話題のニュースについて議論したりと、まるで自宅のリビングでくつろぐように会話を楽しんでいます。

時には、政治の話しで意見が合わず、半分言い争いになっていることも・・・。

でも、その1分後には笑顔でまた世間話を続けているんです。

そして、食べ盛りの高校生や大学生がおやつをふらっと食べに来たり、勉強したり。テラス席で仲間たちとワイワイ楽しく話している姿は、まさに青春という感じです。

そんな、老若男女、世代も関係なく同じカフェの空間に集う光景は、こちらも見ているだけで楽しくなってしまいます。

日本人がその雰囲気の中にいきなり入るのは、ちょっと気が引けるかもしれませんが、「観光で来たの?」「日本人?」と隣にたまたま居合わせた、元気なおばあちゃん女子会グループに声をかけられたり、カフェのオススメを笑顔で教えてくれる店員さんがいたりと、とてもフレンドリーなんです。

お互いに知らなくても、気になる話題であれば、会話に割って入ってくる人も。カフェに置いてある新聞も読みたい人に手渡しで回していくのも、牧歌的なやり取りに感じます。

ポルトガルのカフェ文化の深いところは、老舗のカフェを中心に今でも多くのカフェに、その日の新聞や雑誌が置いてあり、人々はコーヒー片手にその日の出来事や情報を得ていることです。

これは、すべての人が少しの出費で社会とのつながりや必要な情報を手に入れることができるしくみで、ポルトガル独特のカフェ風景だと言えます。

大体コーヒー1杯とマフィンやカップケーキを頼んで4~5€と日本と比べてリーズナブルです。
(コーヒーだけなら、安いものなら1€くらいです。)

フランスやイタリアにもオシャレで魅惑的なスイーツや飲み物があるカフェはありますが、「今日まで、人々が語り合い、憩う空間が残っているのはポルトガルならではないか。」と、ポルトガルの友人たちが少し誇らしげに話しているのが、印象的でした。

実際に私も毎日カフェに行って、近所の人やたまたま隣になった大学生と情報交換したり、日本について紹介したり楽しい思い出がいっぱい詰まった場所になっています。

寄っていきやすい雰囲気と、何をするわけでもなく、ただ時間が過ぎていくのも気持ちがいい、それがポルトガルカフェの懐の深さかもしれません。

カフェ定番スナック&スイーツ

コーヒーについて色々な視点で紹介してきましたが、ここでちょっとブレイクタイム!

美味しいコーヒーだけをじっくり味わうという楽しみ方もありますが、コーヒーにベストマッチな絶品スナックやスイーツも気になりませんか?

定番からちょっと意外なものまで3つ、ご紹介します。

まずは、コーヒーとの相性100%!国民的スイーツ「パステイス・デ・ナタ(Pastéis de Nata)」(通称”ナタ”)です。

もう食べたことがある人もいると思います。

いわゆるイギリスなどのエッグタルトと似ていると言われることもありますが、ポルトガルのナタは別物です。生地がサクサク・パリパリでクリームもとっても濃厚なんです。

リスボンのベレン地区にある「パステイス・デ・ベレン(Pastéis de Belém)」はナタの総本山ともいえる、いつでも焼きたてが食べられる人気店です。

観光客だけではなく、ポルトガル人もナタが大好きな人が多いので、専門店でなくても近所のカフェに行けば、その店自家製や製造所の既製品を提供してくれるので、いつでもナタに出会えます。

そして、幸せそうにナタを頬張る傍らには、いつもエスプレッソやガラォンがあります。

パステイス・デ・ベレンのナタは、いくらでも食べられちゃいます!

2つ目は、「ボーロ・デ・アホイシュ(Bolo de Arroz)」です。米粉のケーキで、マフィン型に入ったふわふわの生地と表面にうっすらかかった砂糖のシャリシャリ感が絶妙。

朝ごはんにぴったりで、腹持ちもいいのでよく注文されるケーキです。ガラォンに浸して食べる人もいます。日本の米粉のお菓子のモチっという食感よりは、サクッとしていてしっとりした印象です。

ケーキのイメージはこちらから:Bolos de Arroz (Portuguese Rice Muffins) | Love and Olive Oil

3つ目は、ブラジル生まれのコロッケ「コシーニャ(Coxinha)」です。こちらはカフェやスーパーなどの「サウガードス(Salgados)」コーナーに置いてあることが多いです。

サウガードスは塩気のモノ=手でつまめる軽食で、スイーツは「ドッセス(Doces)」=甘いモノのコーナーに並べられています。

少しぽてっとした、しずくのような可愛い形で、鶏ひき肉がしつこくなく、あっさりと食べられるポルトガルでも人気のスナックです。ここはブラジル風に、薄目のアバタナードと合わせるのがおススメです。

ご紹介した3つは定番中の定番なので、ケーキやクッキー、郷土菓子や修道院菓子を含めると、数えきれないほどのコーヒーに合うスナック&スイーツがあります。コーヒー目当てかスイーツ目当てか、いずれにしてもポルトガルのカフェでは幸せなひとときを過ごせます。

コシーニャ(奥)とエスプレッソ

一度は訪れたい!ポルトガルの老舗カフェ

地元の人が通うカフェがたくさんありますが、有名店であっても決して観光客ばかりが訪れるわけではありません。

先ほどコーヒーヒストリーに登場した詩人フェルナンド・ペソーアが通ったカフェが、リスボンの目抜き通り「ガレット通り」にある「ア・ブラジレイラ(A Brasileira)」です。Bicaのスローガンを生み出したのも、こちらのカフェです。

1905年11月に「本物のブラジルコーヒー」というキャッチコピーでコーヒー豆を売り出したのが始まり。創業者が長年ブラジルに住んでいたことから、今でも良質なブラジル産コーヒー豆を直輸入し続けています。

1908年に喫茶室が作られると、当時のエリートたちの待ち合わせ場所になり、社交場として、ポルトガルのカフェ文化の中心となっていきます。

今では、ポルトガルに現存するいくつかある歴史的なカフェの代表的存在です。

慌ただしく人が行き交う外から一歩入った店内は別世界。クラシックな雰囲気で、カウンターで新聞片手にサッとコーヒーを飲む人、壁一面に鏡張りのボックス席で談笑する人たちや、美しさに見とれてしばらく天井を眺めている観光客。

さまざまな人が入り混じった、とても活気のあるカフェです。

通りにはテラス席が設けられていて、フェルナンド・ペソーアの銅像が、行き交う人を優しく見つめているようです。多くの観光客がペソーアの横に座って記念撮影をしているのが、この通りの名物になっています。

【店舗情報】カフェ・ア・ブラジレイラ(O Café A Brasileira)
住所:Rua Garrett, 120/122, 1200-205 Lisboa
営業時間:8:00~24:00
定休日:なし

公式HP:O Café – A Brasileira

ア・ブラジレイラのフェルナンド・ペソーアの銅像

もう1つは、ポルト観光に欠かせない歴史的カフェ「カフェ・マジェスティック(Café Majestic)」です。

1921年にポルトの商人グループたちによって設立された社交場が起源です。

リスボンの「ア・ブラジレイラ」同様に、ポルトの社交界の中心的役割を担っていたカフェは火災や不景気など紆余曲折ありながらも、1992年には「ポルトで最も美しいカフェ」に選ばれました。

豪華なシャンデリアと大理石が作り出す雰囲気は、一歩入っただけで中世時代の宮殿にタイムスリップしたかのよう。運が良ければ、ピアノの生演奏を聴きながら、洗練されたスイーツやコーヒーと共に特別な時間を過ごせます。

コロナ前までは、外国からの観光客の増加で連日、外まで行列ができるほどでした。

【店舗情報】カフェ・マジェスティック(O Café Majestic)
住所:Rua Santa Catarina, 112, Porto
営業時間:9:00~23:00
定休日:日曜日

公式HP:Majestic Café (cafemajestic.com)

※いずれのカフェもコロナの影響で、営業時間が異なる場合があります。

ポルト中心部

ご紹介したリスボンやポルト、そしてポルトガル各地には、まだまだ歴史的なカフェが存在します。コーヒーを味わうのはもちろんですが、内装や調度品などへのこだわりや歴史が息づく雰囲気をぜひ楽しんでみてください。

それ以外のカフェはこちらからチェックできます Historic Cafes | MyOwnPortugal

まとめ

ただ美味しいコーヒーやスイーツを楽しむだけではなく、コミュニケーションの大切さを教えてくれるポルトガルのカフェ。

ポルトガルで華開いたカフェ文化は、ブラジルやアンゴラなど、かつての植民地の習慣にも大きな影響を与えました。

同じカフェ文化が盛んなフランスやイタリアとも違った、ポルトガル独自のコーヒー習慣は少しディープな世界。

ただ、まるで教会や宮殿にいるような豪華な装飾のカフェから、住宅街の一角にある庶民的なカフェであっても、来る人を拒まず自然と輪の中に入れてくれるポルトガル人の優しさに出会える場所が、カフェなのかもしれません。

ちょっと壮大な話にもなりましたが、まずは、肩ひじ張らずにステキなカフェを訪れて、美味しいコーヒーとスイーツを心ゆくまで味わい尽くしちゃいましょう。

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