電車は、ポルトガルの人々の生活にとってはもちろん、私たちが旅行する時の移動にも欠かせない交通機関のひとつですよね。
そこで今回は、ポルトガル鉄道の列車の種類やチケットの購入方法など、ポルトガルを電車で旅する時に便利な情報を一通りまとめました。ポルトガルの車窓を楽しむ鉄道旅を計画しちゃいましょう!
ポルトガル鉄道「CP」に乗って、ポルトガルを旅しよう
ポルトガル国内を初めて鉄道が走ったのは、日本より25年早い1856年のこと。リスボン・カヘガード間の37kmを走ったのが始まりです。その後、北はポルト、南はファロ方面へ、さらに内陸方面へも路線を拡げ、今ではポルトガル国内の主要都市間を結ぶ便利な交通網へと発展しました。
現在ポルトガル国内を走る鉄道を運営しているのが、ポルトガル鉄道(Comboios de Portugal)です。日本の「JR」のように、ポルトガルでポルトガル鉄道は「CP」と呼ばれています。
CPの公式サイト、または公式アプリから、希望の移動区間を走る列車の種類や時刻表、金額など簡単に調べることができ、列車種類によっては予約も可能です。英語ページも用意されていて使い勝手もよいので、ポルトガル旅行のときはぜひチェックしてみてくださいね。
ポルトガル鉄道HP(英語)はこちら
ポルトガル鉄道の列車の種類
ポルトガル鉄道の列車は大きく分けて4種類のタイプがあります。停車駅、所要時間、値段、予約必要の有無など、旅の目的や行程に合わせて選びましょう。
アルファ・ペンドゥラール/Alfa Pendular(AP)
ポルトガル国内で最速を誇る列車アルファ・ペンドゥラールは、リスボンとポルトをおよそ3時間弱で移動できる高速鉄道です。
全席指定席で、3列(2席+1席)シートの一等車(Conforto)と、4列(2列+2列)シートの二等車(Turística)があります。一等車は飲み物の無料サービスがあるほか、食事のケータリングサービス(要予約)も利用できます。フリーWiFiつきで、新しく綺麗な車体が多いのが特徴です。
リスボンから北方面に向けてブラガまでを走る路線と、リスボンから南方面に向けてファロまで走る路線の2つがあります。
インテルシダーデ/Intercidades(IC)
インテルシダーデは、ポルトガル国内の主な都市をつなぐ急行列車です。リスボンとポルトをおよそ3時間半で移動できます。アルファ・ペンドゥラールと同じ座席配置・全席指定席で、一等車と二等車があり、こちらもフリーWi-Fiつきです。
走行区間はアルファ・ペンドゥラールとほぼ同じですが、インテルシダーデの方は停車駅が多く、少し時間はかかるものの、その分料金はリーズナブル。アルファ・ペンドゥラールは日本の新幹線、インテルシダーデは「小田急ロマンスカー」や「踊り子」といった、特急列車のようなイメージです。
レジオナル・インテルレジオナル/Regional(R)・InterRegional(IR)
ポルトガルの主要都市から各地方をつなぐ 普通列車です。全席自由席で、APやICが停車しない地方の都市(レグアやトマール、レイリア、ラゴス、カステロ・ブランコなど)へのアクセスが可能です。
年季の入った車体も多く、地方の町では無人駅や案内板のない駅も多いです。ディープな列車旅をしたい方に一押しの列車です。
ウルバノス/ Urbanos(U)
リスボン、ポルトからそれぞれ4路線 コインブラからも1路線が出ています。全席自由席。リスボンからはシントラやカスカイス、そしてポルトからはギマランイスやブラガなどに1本で行けるので、日帰り旅行にも使い勝手の良い列車です。
リスボン近郊を走る4路線
・シントラ線(Linha de Sintra)
・アザンブジャ線(Linha de Azambuja)
・カスカイス線(Linha de Cascais)※ベレン通過
・サド線(Linha de Sado)※セトゥーバル通過
ポルト近郊を走る4路線
・ブラガ線(Linha de Braga)
・ギマランイス線(Linha de Guimarães)
・アヴェイロ線(Linha de Aveiro)
・カイーデ線(Linha de Caíde)
国際路線
セルタ(Celta):ポルトからスペインのビーゴまでの高速鉄道
ルシタニア(Lusitania):リスボンからスペインのマドリードまでの夜行列車
シュド・エクスプレッソ (Sud Expresso):リスボンからフランス南部のアンダイエまでの夜行列車
チケット購入方法
ネット予約
ポルトガル鉄道の列車のうち、要予約のアルファ・ペンドゥラールとインテルシダーデのチケットは、ポルトガル鉄道公式サイトまたは公式アプリで60日前から購入可能です。サイト、アプリとも英語ページがあり、使い勝手が良いのでおすすめ。
早めに購入すると早割が適用されたり、希望の席が確保できたりとメリットが多いので、旅のプランが固まり次第予約をするのがおすすめです。(ただし、早割チケットは変更・キャンセル不可なので要注意)
駅窓口
こちらもネット同様、要予約列車のチケットを60日前より購入可能。もちろん、当日や数日後のチケットも購入できます。行き先と時間帯、片道・往復など希望の内容を伝えると、レシートのようなチケットを発券してくれます。
少しハードルが高く感じるときは、乗りたい列車の時間や目的地などを書いたメモを見せるのがおすすめです。観光客への対応に慣れた駅員も多いので、丁寧に対応してくれるでしょう。
券売機
リスボンやポルトから発車する近郊列車のウルバノス(U)が走る駅には、券売機が設置されている駅もあります。いずれもカードへのチャージ方式で、目的地のゾーンを確認してから、必要な回数分をチャージします。券売機によっては行き先から運賃を表示させることも可能です。
カードはリスボン、ポルトそれぞれの交通機関で共通して用いられるICカードをポルトガル鉄道でも利用します。
車内
社内でのチケット購入は、レジオナルやインテルレジオナルに多いケースです。窓口のない無人駅で乗車する場合は、列車に乗ってから車内を巡回する車掌さんに目的地を伝えてチケットを購入しましょう。
要注意!列車によって異なる検札のしくみ
検札の方法は、鉄道の種類により若干異なります。
要予約列車(AP・IC)
駅構内には改札ゲートなどはありません。チケットを購入したら、時刻案内ボードで発車ホームを確認し、そのまま向かいます。乗車する電車がホームに止まったら、チケットに記載されている号車・席番号に座りましょう。
検札は発車後に車内で行われます。購入チケットを見せるか、ネット予約の場合はpdfで送られてくる予約確認表をスマートフォンなどで見せるか、印刷して渡してもOK。
予約不要列車
レジオナル・インテルレジオナル
こちらも改札ゲートはないので、電車がホームにやってきたらそのまま乗車できます。チケットは駅窓口で購入、または無人駅で駅員から購入できない場合は、車内で検札時に行き先を伝えてチケットを購入することもできます。
ウルバノス
URの乗車時にチャージ式カードを用いる場合、忘れてはならないのがチケットの有効化=「バリデーション」。
リスボンでは日本の改札のようにタッチしないとゲートが開かないシステムの駅もありますが、多くの場合は駅のホームにある機械にタッチしてから電車に乗る仕組みがとられています。降りるときも忘れず同じようにタッチをしないと、次の乗車時のバリデーションのときにエラー表示になってしまうので要注意。
電車内では、車掌による抜き打ちの検札が行われており、ここでバリデーションを行わずに乗車をしていたらペナルティに課されます。抜き打ちとは言え、私はかなりの頻度でこの検札に出会しました。知らないうちに無銭乗車…ということのないよう、忘れないようにしましょう。
鉄道旅に便利なポルトガルワード
電車 | comboio |
号車 | carruagem |
座席番号 | lugar |
発車時刻 | hora |
出発 | partidas |
到着 | chegadas |
チケット | bilhete |
ホーム | linha |
片道 | ida |
往復 | ida e volta |
乗客 | passageiro |
所要時間 | duração |
金額 | preço |
鉄道の気になるあれこれ
割引チケットを活用しよう!
ポルトガル鉄道には、いくつかの割引制度(Promo Ticket)があります。
子供割:12歳までの子供は半額
シニア割:65歳以上のシニアは半額
→旅行客にも適用されます。パスポートなど、年齢が分かる身分証明書が必須です。
早割:5〜8日以上前にチケットを購入した場合、最大で65%オフになる
早割で購入したチケットは変更不可なので要注意です。
そのほか、CPではプロモーションチケット(例:ポルト⇔ブラガのお得な往復チケットなど)がしばしば登場します。CP公式サイト、または駅構内のポスターなどで確認できるので、ぜひお得なチケット情報をゲットしてくださいね。
大きなキャリーケース、どうすればいい?
旅行時などは、大きなキャリーケースを運びながら電車移動をするシーンもよくありますよね。そこで気になるのが、電車に乗ってるときのキャリーケースはどうすればいいのか…ということ。
全席予約列車で、特に二等車の場合は足元や通路スペースに置くのは困難な場合が多いです。乗降口の近くにキャリーケース専用のスペースがあるので、そこに置いてから自分の席に向かいましょう。
一方、オンシーズンには100%近くの乗車率になることも多く、キャリーケースコーナーもすぐに埋まってしまうことも。そんな時は、席上部の荷物置き場に置くしかなくなります。 重い荷物を頭上の棚に持ち上げるのは、簡単ではありません。周りの力持ちそうな人にお願いをすれば、きっと快く上げ下げしてくれるでしょう。
日本の鉄道と違うところは?
時間になると静かに発車する
ポルトガルの列車はヨーロッパの中でも比較的、時間に正確といえるでしょう。ですが、定刻通りに発車・到着することもあれば、5~10分程度の遅れがあったりと状況によってさまざま。
発車時は、日本のように発車ベルで知らせてはくれません。リスボンやポルトなどの大きな駅はアナウンスがあることもありますが、聞こえにくいです。時間になると静かにドアが閉まり、気づけば発車。時間には余裕をもって乗車しておくのが安心です。
進行方向を向いていない座席も多い
ポルトガルの列車で特徴的なのが、ボックスシートの多さ、そして座席の向きと進行方向が逆向きとなる座席の多さです。
全席指定の列車の場合、HPやアプリからのネット予約時に空いている座席から好きな場所を選択することができます。進行方向や座席のレイアウト、またコンセント位置なども事前に確認できるので、予約する際の席選びのポイントにしてくださいね。
ストライキが起こることも
時間に正確なポルトガルの鉄道ですが、ひとつ、出くわしてしまうとどうにもならないのが、「ストライキ」です。日本ではなかなか馴染みの薄いストライキですが、ポルトガルでは決して珍しいことではなく、旅行のときとタイミングが被ってしまうことも十分ありえます。
鉄道が動かないときの代替手段で便利なのが高速バス。鉄道もですが、高速バスもポルトガル国内を隈なく走っている便利な交通手段です。もしもの場合…というつもりで、バスでの移動手段も一度調べておくと、いざというときに慌てなくて済むかもしれません。
CPの主な駅
最後に、鉄道の旅であなたもきっと利用することになるリスボンとポルトの主要駅を6ヶ所ご紹介します!中には建物自体を見に訪れたくなるような、魅力的な駅もありますよ。
リスボンの長距離路線の駅
サンタ・アポローニア駅(Santa Apolónia)
リスボンからコインブラやポルト方面へ向かう長距離線の始発駅です。リスボン市街地の歴史的なエリア、アルファマ地区にあり、駅のすぐ脇をテージョ川が流れます。
メトロ青線のサンタ・アポローニア駅と併設しており、リスボン市街地からのアクセスのしやすさがポイント。かわいらしい水色の駅舎が目印です。
オリエンテ駅(Oriente)
リスボンの空港から長距離鉄道を乗り継ぐ場合は、リスボン郊外のオリエンテ駅を利用すると便利です。駅は1998年のリスボン万博に合わせて開業し。まるで空港のような外観で、明るく開放的、かつ近未来を思わせる駅です。
駅の周りには巨大ショッピングモールやオフィスビルなど、リスボンのモダンな一面を感じることのできるエリアです。ホーム上部の鉄骨屋根の美しさは、電車に乗らなくても建築好きは要チェックです。
リスボンの近郊列車の駅
ロシオ駅(Rossio)
ロシオ広場にあるロシオ駅は、世界遺産の町シントラに向かう「シントラ線」の始発駅です。かつては「中央駅」の名称でリスボンの鉄道駅の中でもターミナル的な役割を担いました。メトロの緑線でアクセスできます。
正面のファザードは、大航海時代のポルトガルを象徴するマヌエル様式が用いられており、重厚感のある美しい外観が見どころです。
カイス・デ・ソドレ駅(Cais do Sodré)
ジェロニモスの塔やベレンの塔、またポルトガルで一番美味しい!と評判のパステル・デ・ベレンのある町、ベレンに鉄道で行くのであればカスカイス線を利用することになります。 カスカイス線の始発駅が、リスボンの南西部、テージョ川沿いにあるカイス・デ・ソドレ駅。
メトロの緑線の駅が通っているほか、テージョ川対岸の町セイシャル行きのフェリー乗り場も近接しています。
ポルトの長距離路線の駅
カンパニャン駅(Campanhã)
ポルトのターミナル駅は、町の中心部からやや離れたところにあります。メトロの全5路線が停車するハブ駅でもあるので、アクセス自体は容易。高速列車からポルトの近郊列車まで、さまざまな種類の列車が停まります。
駅近くのレストランやカフェは数えるほどで、駅構内の売店もそれほど充実しているとは言えないので、長い電車の旅を始めるのであれば、ポルトの中心部で食料などを調達しておくのがおすすめです。
ポルトの近郊列車の駅
サン・ベント駅(São Bento)
ポルト観光で外せない名所のひとつでもあるのが、サン・ベント駅です。ポルトのメイン広場であるトリンダーデ広場から歩いてすぐのところにあるこの駅は、なんと言っても駅構内の壁一面を飾る美しいアズレージョが魅力。列車を利用する人、アズレージョを観にくる人で常に人で賑わっています。
サン・ベント駅はポルトの近郊列車やIRの始発駅となっています。
まとめ
ポルトガル国内の町を効率よく、また快適に旅したいと考える方にぴったりのポルトガル鉄道CPのご紹介でした。ぜひ鉄道を乗りこなして、ポルトガルの周遊旅行や日帰り旅行を満喫してくださいね。
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