ポルトガルのガイドブックなどでも必ず登場する雄鶏のガロは、ポルトガルを語るうえで欠かせないシンボル。真実や奇跡、幸せを象徴する、ポルトガルならではのラッキーアイテムでもあります。
そんな人気者のガロは、ポルトガルの小さな町が舞台になった伝説がもとになっています。この記事では、ガロの伝説から、伝説発祥の地バルセロスのご紹介まで、ガロについてとことんご紹介します。
ポルトガルのシンボル「ガロ」
「ガロ」とは、ポルトガル語で雄鶏のことです。大きなトサカと尻尾、そしてハートや花柄の模様が施されたカラフルなボディで表現されるガロは、今やポルトガルのアイコン的存在。真実と正義の象徴、また幸せのお守りとして、ポルトガル国民から観光客にまで幅広く愛されています。
ガロがポルトガルを象徴するシンボルとしてフィーチャーされたのは、20世紀半ばのサラザールによる独裁政権時代のことでした。世界的な観光イベントで、ガロをポルトガルのシンボルとして公式に登場させたのが始まりと言われています。今ではポルトガルを代表するシンボルへと成長したガロは、中世に生まれたある伝説がベースになっています。まずはこの伝説からご紹介します。
「ガロの伝説」とは?
16世紀ごろに生まれたと言われるある伝説が、現在につながるガロのキャラクターの由来です。ポルトガル北部の町、バルセロスがガロ伝説の発祥地であることから「バルセロスのガロの伝説(Lenda do Galo de Barcelos)」と呼ばれます。
「バルセロスのガロの伝説」
舞台はポルトガル北部の町、バルセロス。ある日この町に、サンティアゴ・デ・コンポステーラへ巡礼の旅をしていたハモンという男が立ち寄りました。バルセロスでは町で発生した盗難事件の犯人探しが行われており、貧しい身なりのハモンは盗難事件の犯人とされてしまいます。「自分は盗みなんてしていない、サンティアゴ・デ・コンポステーラへ向けて旅をしていた巡礼者だ」と言っても誰も信じません。
ハモンは捉えられ、絞首刑となることが決まりました。刑執行が近づくなか、ハモンはもう一度裁判官に無実を訴えたいと願い出ます。願いは受け入れられ、裁判官が仲間と食卓を囲んでいるところにハモンがやってきます。ハモンは、食卓の上に置かれた鶏の丸焼きを指さし、「私は間違いなく無実だ。その証拠に、私が刑を受けるその瞬間にこの鶏が起き上がって鳴くだろう」と言いました。しかし裁判官をはじめ、食卓を囲んでいた人々は誰も相手にしません。
ハモンは絞首台に連れられ、いよいよという時…食卓の上の鶏の丸焼きが突如起き上がり、大きな声で鳴いたのです。裁判官は驚き、急いで絞首台に向かいます。ハモンは、すんでのところで助かりました。聖サンティアゴに感謝をしたハモンは、巡礼の旅の帰り道にバルセロスの地に碑を建てました。
お土産にもぴったりのガロ
ガロはポルトガルのお土産屋でも欠かせない存在です。一番オーソドックスなのはガロの置物。コインほどのサイズのミニガロから、存在感抜群の特大ガロまで、大きさのバリエーションの豊富さも特徴のひとつです。また、置物以外にもマグネッや栓抜き、キーホルダー、携帯ストラップ、卓上ベルなど、ありとあらゆるグッズにガロが登場します。
ポルトガルらしさ満点で、さらに可愛らしいデザインとあれば家に持ち帰って飾りたくなること必至。お土産にももってこいのアイテムです。渡すときには、ぜひ「ポルトガルのラッキーアイテムだよ」と一言添えて渡してくださいね。
色によって意味があるの?
ガロの定番カラーは黒色です。これは、伝説に登場する、巡礼者の無罪を証明した雄鶏が丸焼き(黒こげ)状態だったから。お土産屋やイラストで描かれるガロは圧倒的に黒色が多いのですが、一方で赤・黄・緑・青・白などカラフルな色のガロも存在します。
ガロの色に大きな意味はないようなので、お気に入りの色のガロを選ぶのが一番。ちなみに、ポルトガルでは新年に下着を新調する風習があります。このとき、選ぶ下着の色によって新年への期待や豊富を込めるのだそう。
赤:情熱・愛・リーダーシップ
黄:活気・希望・お金・成功
緑:希望・決意・健康・若さ
青:健康・静寂・調和
白:平和・平穏・純粋・調和
黒:尊厳・ファンタジー
ガロの色選びに迷ったときは、ポルトガルの人々の願掛けの方法を決め手のひとつにしてみてはいかがでしょうか。
ガロ発祥の地「バルセロス」へ行ってみよう
伝説の舞台となった町「バルセロス」はポルトガル北部、ブラガからおよそ18kmの町です。今では国の至る所で見られるガロの置物も、バルセロスのある陶器職人が作成したことが始まりでした。小さな町ですが、町中にはガロのモニュメントやお土産が至るところに見られる、ガロでいっぱいの町です。
バルセロスへの行き方
バルセロスはポルトからの日帰り旅行にもぴったり。宗教都市ブラガとセットで周遊プランにするのもおすすめです。行き方はバス・電車の2通りあります。バスの場合は町の中心部にもバス停があり行動しやすいのでおすすめです。
ポルトからのアクセス
バス:ブラガまで電車、またはバス。(参考:ジグザグの白い階段が圧巻!ブラガの世界遺産ボン・ジェズス)ブラガのバスターミナルからバルセロスのバスターミナル、またはバルセロス中心部リベルダーデ沿いのバス停までおよそ30分~1時間。(rodonorte社またはtransdev社利用)
鉄道:ポルトのサン・ベント(São Bento)駅またはカンパニャン(Campanhã)駅からバルセロス(Barcelos)駅までおよそ1時間~1時間半。(直通または乗り換え)
国内最大規模の市場「木曜市」も要チェック!
バルセロスでガロのほかに有名なのが、毎週木曜日にレプブリカ広場(Campo da Repubúlica)で開かれる国内最大規模の市場「木曜市」です。ここではガロの置物はもちろん、陶器の町らしくさまざまな手作り陶器、ブリキ細工、そして野菜果物が並べられます。
ひとつひとつ手作りのガロは、それぞれ表情もちょっとずつ異なります。たくさんのガロが勢ぞろいした市場で、お気に入りのお顔を見つけるのも市場ならではの楽しみ方ですね。
バルセロスの陶人形
バルセロスは良質な粘土が取れて陶器作りが盛んな町でした。そして、余った粘土を使って職人たちが休み時間に作ったのが、「Figurado de Barcelos」と呼ばれる陶人形の始まりです。
人形のモチーフは、キリストや聖者を表した宗教色の濃いものから、ごく普通の生活を営む村人や動物を表現したものまで個性豊か。バルセロスの地で代々伝わり、ポルトガルを代表する工芸品のひとつになったこの陶芸品は、今ではごくわずかな後継者により支えられています。
バルセロスの町中では、表情豊かでインパクトのある大きな陶人形が、ガロのモニュメントと同じくらいの存在感を放っています。バルセロスに行ったら、ぜひこの伝統工芸品にも注目してくださいね。
日本でもバルセロスの陶人形を購入できます!
「陶器のオブジェとポルトガル陶人形のお店 オラリア」
まとめ
ポルトガルの愛されマスコット、ガロのご紹介でした。ちょっととぼけたような表情が愛らしいガロの置物は、ポルトガルで定番のお土産のひとつ。ぜひ、お気に入りの色・サイズ・表情のガロを見つけて、あなたの幸せのお守りにしてくださいね。
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