空から見ると見事な星型に見える要塞に守られた村、アルメイダ。
スペインとの国境付近にあり、歴史的に重要な防衛拠点として活躍してきました。要塞は17世紀から18世紀に築かれたもので、多くの戦いからポルトガルを守ってきました。
塁壁の内側には、今でも歴史ある建物が残っているので、要塞見学だけではなく町歩きも楽しめます。
概要と歴史
空から見ると見事な星型に見える要塞に守られた村、アルメイダ。
元々は紀元前61年にローマ人により占領されたことが始まりと言われています。
その後、時が流れ、8世紀になるとアラブ人が占領し、この地をアルメダ(Al-Mêda)、タルメイダ (Talmeyda)、または アルメイダン( Almeydan)と呼ぶようになったそうです。そして、ここに小さな城を建てました。
12世紀に入るとキリスト教徒によるレコンギスタが進められ、アルメイダは1297年にポルトガルの所有地となります。当時の国王、デニス1世がアルメイダの城を再建。ゴシック様式の城は、このスペインとの国境付近では小さい城の一つでした。
一方で、17世紀から18世紀に築かれた要塞は全長2500メートルと広大です。
12あるヒストリック・ビレッジ(Aldeias históricas)の他の村よりも規模が大きいので、村というよりも町という雰囲気です。
世界遺産となっているエルヴァスの要塞も有名ですが、アルメイダの要塞も同様に強固な国境防衛地として発展しました。その特徴としては、
- 周囲を良く見渡せる高台に位置
- 侵入を難しくする高い堀
- 守備側の死角をなくす星型砦と半月堡
- トンネルのようなアーチの門
- 偽の扉
- 地元住民の地下の避難所
などがあげられます。
19世紀にはナポレオン軍の侵入により激戦がこの地で勃発。この時に弾薬庫の火薬が大量に爆発したことで、城や城壁の一部が破壊、アルメイダは陥落しました。
塁壁の内側には16世紀にに建てられた家や教会、騎兵隊の兵舎などが現存しています。
現地の観光案内所では町の地図がもらえます。ぜひ最初に立ち寄り、地図を見ながら町歩きを楽しみましょう。
基本情報・アクセス
ポルトガルの主要都市からアルメイダまでのアクセス方法と見どころについてご案内します。
アクセス難易度
アルメイダまでのアクセス難易度:★★★
★☆☆…簡単!ポルトガル観光定番スポット
★★☆…やや難。大都市からちょっと足を伸ばして
★★★…奥地。電車やバスを乗り継いで
中部地方のスペイン国境側にあるアルメイダは、観光地としてはまだまだマイナーです。12あるヒストリック・ビレッジ(Aldeias históricas)の中で、このアルメイダとカステロ・ロドリゴとカステロ・メンデがわりと近いので、時間がある場合は3か所周るのもおすすめです。
アルメイダまでのアクセス方法
各都市から公共交通機関を利用する場合は、まずは地方都市のグアルダ(Guarda)を目指しましょう。このグアルダからバスまたはタクシーを使って、アルメイダまで行きます。
リスボンからのアクセス
バス+タクシー:
リスボンのセッテ・リオス(Sete Rios)ターミナルからグアルダのバスターミナルまで4~4.5時間(Rede Expressos社のバス利用・1日9便ほど)。
グアルダからは、ヴィラール・フォルモゾ(Vilar Formoso)でバスを乗り継ぎアルメイダまで行けますが、本数も少なく約2時間半かかるので、あまりお勧めできません。できれば、グアルダからタクシーでアルメイダまで行きましょう。タクシーでおおよそ35分で到着します。
タクシーの運転手さんには、聖フランシスコ・クルーズ二重門(Portas Duplas de São Francisco da Cruz)の近くまで行ってもらうようにお願いしましょう。到着したらこの門をくぐって、散策開始です。
コインブラやポルトからのアクセスの場合も、まずはグアルダへ行かれることをお勧めします。
グアルダも中部の地方都市なので、時間がある場合はこちらも散策してみると良いですね。
観光の所要時間
アルメイダ観光の所要時間:半日~1日
塁壁に囲まれたアルメイダの町は歩いて回れる広さに収まっていますが、見所が多いのでしっかり見ようと思うと半日以上は必要です。
アルメイダの見どころ
アルメイダの見どころは、塁壁に囲まれた歴史地区と、塁壁の周りの要塞群や軍事博物館に分けられます。今回はまず歴史地区を巡り、その後この町を守ってきた要塞を見学していきましょう。
聖フランシスコ・クルーズ二重門(Portas Duplas de São Francisco da Cruz)
アルメイダの要塞の南に位置する二重の門です。
外側の門は19世紀に、内側の門は17世紀に建設されました。
内側の大きな門には、通路と衛兵所の上に防爆屋根があり、軍隊と将校のための部屋、暖炉やトイレがあります。
門の両側の壁は戦いにより崩壊しましたが、現存するものは18世紀に再建された壁です。
アルメイダ城跡(Castelo de Almeida)
ナポレオン軍侵入の際に、保管していた大量の火薬により爆破してしまったアルメイダ城。
現在はその跡を見ることができます。この遺跡は1928年に国定記念物に指定されました。
遺跡の上を歩けるように歩道が設置されている箇所もあります。
兵舎・軍事博物館(Casamatas / Baluarte de S. João de Deus)
屋根に石の瓦が使われた大きな建物はもともとは兵舎でした。 アーチの入り口で分けられた20の部屋や、住民の避難所など複合施設として活躍していました。19世紀には刑務所としても使われていたそうです。 敷地内には保護された水源と井戸があります。
2009年から軍事博物館としてリニューアルオープン。実際に使われた大砲や武器、戦術の解説など貴重な資料を収蔵しています。
16世紀の家
16世紀に建てられたと考える住宅が今でも町中に残っています。
石造りの2階建ての家には小さ目の扉がついていますが、これはユダヤ人の家の特徴です。左側の少し大きい扉は商業用、右側の小さい扉は住居用でした。
ピカデイロ・デル・レイ(Picadeiro D’el Rey)
もともとは砲兵の倉庫として建てられ、その後は軍事機器の製造と修理を行う鍛冶場として機能していましいた。19世紀のナポレオン軍侵入の際の火薬の爆発で破壊されましたが、20世紀に厩舎として再建されました。
現在では乗馬のレッスンが受けられる場所となっています。
スポットマップ
まとめ
他のヒストリック・ビレッジとは雰囲気の異なるアルメイダのご紹介でした。
ポルトガルを守るための戦いが何度も繰り広げられたことを考えると、とても感慨深くなります。
今回紹介した見所スポットをチェックした後は、塁壁の上を歩いてみるのも面白いでしょう。
主要都市からのアクセスは少し難しいですが、ポルトガルの歴史を感じることのできる場所なので、時間があればぜひ足を延ばしてみてください。
※各施設・店舗の情報は2021年8月の情報です。今後変わる可能性がありますので、最新の情報は公式HPなどでご確認ください。
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