「ポルトガル発祥の地」と言われる古都ギマランイス。この記事では、ポルトガル建国の原点となったお城や伝説のある教会まで、世界遺産に認定されているギマランイスの歴史地区をたっぷりご紹介します!ポルトからのアクセス方法やギマンイス名物のお菓子もチェックしちゃいましょう。
概要と歴史
ギマランイスの町の歴史が大きく動き出したのは12世紀。初代ポルトガル国王のアフォンソ・エンリケス(アフォンソ1世)がギマランイス城で生まれたことに端を発します。
アフォンソ・エンリケスがおよそ20歳のときに、サン・マメーデの戦いで母親のテレザに勝利し、ポルトガルの北部ポルトゥカーレ伯領の統治を開始。その後、宗主国であったカステーリャ・レオン王国に勝利し、さらにイベリア半島を支配していたイスラーム勢にオーリッケの戦いで大勝を収めたことを契機に、アフォンソ・エンリケスは自らポルトガル王を名乗るようになります。
1143年にポルトゥカーレ伯領はカステーリャ・レオン王国から正式に独立、アフォンソ・エンリケスはポルトガル王国の初代国王アフォンソ1世となりました。その後王国はイスラームからの国土回復運動を進め、リスボンやエヴォラなどの都市へと支配を拡大。首都もコインブラへ設けられたことで、ギマランイスの町は徐々に王国の中心としての役割を手放していきます。
歴史の表舞台からは退いた後も、ポルトガル建国の地としての誇りは持ち続けたギマランイス。中世の町並みを大切に保つギマランイス歴史地区が世界遺産に認定されたのは2001年のことです。
基本情報
まずはギマランイス歴史地区へのアクセス方法と歴史地区内の交通手段、所要時間の紹介です。この後に紹介する見どころのスポットの基本情報は、それぞれの紹介欄をご覧ください。
アクセス
アクセス難易度:★☆☆
★☆☆…簡単!ポルトガル観光定番スポット
★★☆…やや難。大都市からちょっと足を伸ばして
★★★…奥地。電車やバスを乗り継いで
ギマランイスはポルトから鉄道・バスでいずれも1時間ほどと、アクセスの良さはほかの世界遺産スポットに引けを取りません。鉄道駅、またはバスターミナルからギマランイス歴史地区へも徒歩10~15分ほどです。
ポルトからのアクセス
・鉄道:ポルトのサン・ベント(São Bento)駅またはカンパニャン(Campanhã)駅からギマランイス(Guimarães)駅までおよそ1時間~1時間20分。(都市近郊線Urbano・ギマランイス行き)
・バス:ポルトのバスターミナル(Campo 24 de Agosto)からギマランイスのバスターミナルまでおよそ50分~1時間。(rede expressos社またはciti express社利用)
ギマランイス歴史地区の移動手段
ギマランイス駅から旧市街の歴史地区へは歩いて10分ほどです。駅を降りたら、Av. Dom Afonso Henriques通りをまっすぐ北へ進みましょう。500mほど進むと、正面にトウラル広場が現れます。広場の中に「Aqui Nasceu Portugal」(ここにポルトガル誕生す)と記された壁を見つけたら、その先がギマランイスの歴史地区です。
バスでギマランイスに到着する場合は、バスターミナルは「ギマランイス・ショッピング」というショッピングモールの近くに停車します。トウラル広場へは、まっすぐ東におよそ900m進みましょう。
TUG社の市内巡回バス(Linha Cidade)を利用するのもひとつの選択です。バスターミナル→トウラル広場→ギマランイス駅→ギマランイス歴史地区→バスターミナルの順に、平日はおよそ30分に1本の頻度で運行をしています。(土日祝日は本数が少なくなるので要注意です。)
参考HP:TUG社(Transurbanos de Guimarães)
観光の所要時間
ギマランイス歴史地区の観光所要時間(目安):半日
ギマランイスの歴史地区はすべて徒歩圏内に集まっているので、半日あれば主要なスポットは見て回れます。もう半日分を、同じくポルトから行ける世界遺産の町ブラガとセットにするプランもおすすめ。ギマランイスとブラガを結ぶバスも日に4本ほど運行されています。(rodonorte社・およそ25分)
※ブラガについてもっと詳しく!→「ジグザグの白い階段が圧巻!ブラガの世界遺産ボン・ジェズス」
ギマランイス歴史地区の見どころ
ここからは、ギマランイス歴史地区の見どころを紹介していきます!ポルトガルの歴史を今に伝える建造物や記念碑、そして歴史地区の町並みを見ていきましょう。
ギマランイス城
トウラル広場から徒歩でおよそ10分、緑の豊かな小高い丘の上にそびえるのがギマランイス城です。10世紀に建造され、後にポルトガル初代国王アフォンソ・エンリケスが生まれたギマランイス城は、現在はその城壁や塔の一部のみを残す姿へと変わっています。
自由に散策できる城壁を一通り巡った後は、入場料を払って塔を登り、さらに高いところへ。展望台から360度見渡せるギマランイスの町と、その向こうにどこまでも広がる平原は、はるか昔のポルトガル建国時の見晴らしと大きくは変わらないのかもしれません。
塔内部はポルトガルの歴史に関する展示コーナーもあります。小ぢんまりとした空間ながら、ポルトガルの偉人たちがかわいらしいキャラクターで描かれるアニメがあるなど見応えのある空間。ギマランイスという町の歴史を知るうえでも押さえておきたいポイントです。
帰り道には、城壁を出たところにあるサン・ミゲル教会も通り過ぎないようにしてくださいね。石造りの小ぢんまりとしたこの教会で、アフォンソ・エンリケスが洗礼を受けたと言われています。
ギマランイス城(Castelo de Guimarães)
住所:Rua Conde D. Henrique 4810-412 Guimarães
営業時間: 火曜~金曜9:00~18:30(入場は18:00まで)
月曜・土日祝日10:00~12:30(入場は12:00まで)・13:00~18:00(入場は17:30まで)
休館日:1/1・聖日曜日(イースターサンデー)・5/1・12/25
入場料: 2€ ※ブラガンサ公爵館とのセットで6€
HP:ギマランイス城
ブラガンサ公爵館
駅からギマランイス城に向かう途中にお城の手前に現れる、レンガ造りの煙突が特徴的な建物がブラガンサ公爵館です。ポルトガルの全盛期時代を築いた国王ジョアン1世の息子、ドン・アフォンソによって15世紀に建造されました。現在は政府の公館としての役割を担いつつ、内部は観光客にも開放されており、礼拝堂や回廊、展示室の見学が可能です。
館の前の広場には剣を片手に遠くを見つめるアフォンソ1世の銅像があります。ポルトガルの彫刻家・ソアレス・ドス・レイによって19世紀後半にトウラル広場に建造され、その後この地に移されました。
ブラガンサ公爵館(Paço dos Duques de Bragança)
住所:Rua Conde D. Henrique 4810-412 Guimarães
営業時間: 火曜~金曜9:00~18:30(入場は18:00まで)
月曜・土日祝日10:00~12:30(入場は12:00まで)・13:00~18:00(入場は17:30まで)
休館日:1/1・聖日曜日(イースターサンデー)・5/1・12/25
入場料: 5€ ※ギマランイス城とのセットで6€
HP:ブラガンサ公爵館
ノッサ・セニョーラ・ダ・オリベイラ教会
歴史地区のなかでも賑わいを見せるオリベイラ広場で存在感を放つのが、ノッサ・セニョーラ・ダ・オリヴェイラ教会です。厳かな雰囲気の教会内部に、ギマランイスの町が刻んできた長い歴史を感じます。教会に付属している回廊は、現在はアルベルト・サンパイオ美術館として内部の見学が可能です。
教会の目の前に建つアーチは、ポルトガルがムーア(北アフリカのイスラーム教徒)軍との戦いに勝利したことを記念して14世紀にこの地に建てられました。
このアーチには、ひとつの伝説があります。いよいよアーチの完成を迎えるというまさにその時、隣にあったオリーブが芽吹いたといわれるのです。このことから、オリーブの木はギマランイスでは特別な存在に。町中に多く見られるオリーブの木ですが、教会前のオリーブの木は今でも大きく茂り、歴史地区のシンボルです。
ノッサ・セニョーラ・ダ・オリベイラ教会(Igreja de Nossa Senhora da Oliveira)
住所:Largo da Oliveira 4800-438 Guimarães
営業時間:月曜~土曜8:30~12:00・15:30~19:30
日曜9:00~13:00・17:00~20:00
HP:ノッサ・セニョーラ・ダ・オリベイラ教会
ギマランイス歴史地区の町並み
ギマランイス歴史地区は、中世からのたたずまいがそのまま残るような落ち着きのある町並みも見どころのひとつ。この地の伝統的な建築様式である、一階部分は花崗岩、二階より上が木造建築の家が今も多く残ります。落ち着いた茶色を基調とした家々のベランダを彩る鮮やかな花が、なんとも上品で奥ゆかしさを感じますね。
ギマランイスは、世界遺産に認定された今も観光地としてのアピールはどちらかといえば控えめな印象。大人しさと落ち着きを醸し出すギマランイスの町並みと人々からは、ポルトガル建国の地であるという誇りを大切にしながら過ごしていることが伝わります。
【ここに来たらはずせない!】おすすめのグルメ
ここからは、ギマランイスに来たら食べたいスイーツをふたつ紹介します。
ひとつめは「トルタ・デ・ギマランイス(Tortas de Guimarães)」。何層にもなったパリパリのパイ生地の中に、卵黄・アーモンド・錦糸カボチャ・シナモンから作られた甘いクリームが入っています。2019年のポルトガル国営放送主催の国内スイーツコンテストでは、ギマランイス代表として選出されました。
もうひとつは「トシーニョ・ド・セウ(Toucinho do céu)」というお菓子です。直訳すると“天国のラード”。もともと、ラードが材料に使用していたことからついた名前と言われています。卵黄・アーモンド・砂糖などで作る鮮やかな黄色のソフトな食感の焼き菓子です。
ギマランイス名物のお菓子を食べるのであれば、「クラリーニャ(Clarinha)」がおすすめ。トウラル広場に面したお菓子屋さんです。ギマランイスの歴史散歩を終えた後でも、始める前でも立ち寄りやすい場所にありますよ。
【店舗情報】クラリーニャ(Clarinha)
住所: Largo do Toural86-88,4810-445 Guimarães
営業時間: 7:30~23:45
HP:クラリーニャ(Clarinha)
スポットマップ
まとめ
ポルトガルの歴史の起点となったギマランイス。しっとりと落ち着きのある空気に満ちた町ですが、その一方で近年ではポルトガル国内の工業をけん引する役割を果たしています。ポルトガル発祥の地としての誇りを抱き続けながら、しっかりと未来に向けても成長を模索するギマランイスは、昔から今もずっと芯の通った誇り高い町ですね。
※各施設・店舗の情報は2020年8月の情報です。今後変わる可能性がありますので、最新の情報は公式HPなどでご確認ください。
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